「メタ子」の大きく伸びた耳は 県警マスコットキャラ生みの親の思い
ウサギのように大きく伸びた耳は、どんな不審者の声や音も聞き逃さない。県内の太陽光発電施設などで多発する金属窃盗事件への啓発のために誕生したのが、茨城県警察本部生活安全総務課のマスコットキャラクター「メタ子」だ。 【写真】茨城県警本部生活安全総務課のマスコットキャラ「メタ子」=県警提供 メタル(金属)が名前の由来になっている。 8月にデビューして以降、金属窃盗事件への注意を呼びかけるチラシにとどまらず、最近は闇バイトに対する啓発動画にも登場している。 そのデザインを巡査部長の柴田竜さん(36)は手がけた。 今年4月、同課の安全・安心まちづくり推進室に着任。普段は、主任として県内での防犯対策への啓発活動を担当している。 10月半ばから県警のホームページで公開している、闇バイトの実態を紹介する7ページの漫画。コマ割りから登場人物、背景の描画まで、パソコンのイラスト制作ソフトを使ってすべて1人で手がけた。 漫画を描くのは初めてだったが、「警察の啓発活動はどうしても固く受け止められがち。一番見て欲しい、若い人たちに親しんでもらえる方法が必要だと思った」。 思いついたのが、高校生の頃に没頭した趣味のイラスト制作だった。 茨城町の出身。子どもの頃から漫画を見て、キャラクターを模写するのが好きだった。高校1年の時にアルバイト代をためてパソコンを買った。アニメや自分で考えたキャラクターを描いては、作品を紹介し合うインターネット上のサイトにも投稿し、交流した。 放課後、アルバイトを終えて自宅に帰宅してから2時間、毎夜のように作品を描いていた。高校3年間で手がけた作品は1千ほどにのぼる。 ただ、高校卒業後は上京し、プログラミングや情報処理を学ぶ専門学校に入学。投稿サイトの他の人の作品を見て、「自分よりもっとうまい人はいる。プロを目指すのは難しい」と感じた。 卒業後、岡山県に本社があるシステム開発会社で、システムエンジニアとして6年間働いた。 故郷を離れて生活する中、次第に「両親や友人がいる茨城に戻りたい。地元に自分の力を貢献できる仕事がしたい」と感じるようになった。26歳のとき、茨城県警の警察官になった。 ランニングも趣味。水戸黄門漫遊マラソンをはじめ、年に3回ほどフルマラソンに参加している。 培った体力をいかし、県警では一時、機動隊に入ることも考えたが、防犯対策などを通じて地域住民と向き合う生活安全部での仕事が長くなってきた。 「自分のできることをいかして、これからも県内の犯罪抑止に力を尽くしていきたい」と話す。
朝日新聞社