<リベリア ~ パーム油と百姓一揆> 農場での暴動(その2)
暴動の発端は、国外から訪れたGVの重役が、村人の懇願を無視し、かれらとの会見を拒んだことだった。他のパーム椰子農場と同じく、ここでも以前から土地問題がくすぶっていたが、これでついに村人たちの不満が爆発したらしい。 はじめ30人ほどだった抗議デモはみるみるうちに膨れ上がり、興奮した群衆が石を投げ、棒をふりまわしながら農場に乱入。農場のオフィスや食堂、倉庫を破壊し、金目のものを強奪していったという。まさにリベリアの「百姓一揆」だった。 GVがこの土地でパーム椰子栽培をはじめたのは2010年。仕事にありつけると期待した村人たちはGVに土地を売ったが、結局農場は十分な雇用を生み出すまでには至らなかった。 「農場にずいぶん土地をとられたから、まともな収入もないのさ」 ひとりの老人が言った。もともと貧しかった農民が、いっそうの困窮を強いられることになったのだ。(2015年5月) (フォトジャーナリスト・高橋邦典)