サントリーHD、ドル債約770億円の条件決定-流通スプレッド縮小
(ブルームバーグ): サントリーホールディングスが4日、5年物ドル建て固定利付社債(表面利率5.124%、償還日2029年6月11日)5億ドル(約774億円)相当の発行条件を決めた。日本の非金融企業が米ドル建てで起債する例は、今年に入り数少ない。
発行スプレッド(米国債に対する上乗せ金利)は77ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)に設定された。非公開情報を理由に事情に詳しい関係者1人が匿名で語ったところでは、バーボンウイスキー「ジムビーム」で知られる米蒸留酒メーカーを傘下に置くサントリーは、起債で調達した資金を債務返済など一般的な使途に充てる。同社は既発債5億ドル相当が10月に償還期限を迎える。
複数のトレーダーによると、今回債の価格は初日の取引で上昇し、スプレッドは70bpを下回った。
近年のセブン&アイ・ホールディングスや武田薬品工業の例に見られるように日本企業は、海外資産への投資や外国企業買収の際に外貨建てで起債を行う傾向にある。
しかし、円の対ドル相場が一時1990年以来の安値に急落したことで、日本勢の外貨建て起債は、円建ての借り入れコスト上昇に伴い急減している。ブルームバーグの集計データによると、年初から今月5日までのドル建て債発行額は222億ドルと前年同期比で3分の1近く減った。これは過去4年で最も鈍いペースだ。
サントリーは国内の人口減少をにらみ海外事業の拡大に動いており、米クラフトビールメーカー、ボストン・ビールの買収に向け交渉中と米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が先に伝えた。サントリーの新浪剛史社長は5日、買収交渉はしていないとブルームバーグテレビジョンとの英語での取材で述べた。
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原題:Whiskey Maker Suntory Sells $500 Million Bond in Rare Japan Deal、PRICED: Suntory Holdings $500m 144A/Reg S 5Y +77(抜粋)