広島の土砂災害で見直し検討 「土砂災害防止法」どう変わる?
「土砂災害防止法」の何を見直すのか?
今回検討されている土砂災害防止法の見直しでは、どこに重点を置くのでしょうか? 同省砂防部は以下のように説明します。 「見直しのポイントは大きく2つあります。1つ目は、危険箇所の存在を早く地域住民に周知させること。早期対策で被害の拡大を防ぐには、基礎調査で危険性があると判断された土地を警戒区域に指定する法的手続きを行う前に、地域住民へ知らせることが必要です。今回の広島市における土砂災害では、住民への危険箇所の周知が十分になされていなかった現状がありました。土砂災害の危険性がある土地を基礎調査の段階で公表し、住民の認識を深めるとともに警戒避難体制を早く整える狙いがあります」 「2つ目は、土砂災害警戒情報の重要性の周知の徹底。土砂災害警戒情報は法律に基づかない情報ですが、市町村への伝達を土砂災害防止法に位置づけることができないか検討しています。法的な位置づけを行い、避難勧告の発令に資する情報として市町村に重要度を認識してもらい、迅速な対応を促します」 土砂災害警戒情報は、市町村が避難勧告を発令する際の参考となるよう都道府県と地方気象台が共同で発表するもの。今回の広島土砂災害では、避難勧告の発令が遅かったという指摘が相次ぎました。警報が発表された段階で市町村が避難勧告を発令し、住民が自ら身を守る行動を起こすよう促すことが求められています。
自治体や住民はどういう対応が必要?
法改正後、都道府県や市町村、住民はどのような対処が必要になるのでしょうか? 「改正がなされれば、基礎調査の結果を区域指定前に公表することになりますので、都道府県は取り組みの趣旨を周知するとともに、危険な土地であることをしっかりと住民に理解してもらえるよう努める必要があります。市町村においても警戒避難体制を整えるなどの早期対策が必須です。さらに重要なのは、地質の理解と監視。地形は少しずつ変化していくものです。特に地滑りが起こるような斜面は、観察していれば変化に気付くことが多々あります。常日頃から地域の監視を行い、対策を打つ必要があります」 日本は気候条件や気象、地質・地形の関係で土砂災害が起こりやすいと言われています。早期対策で、被害拡大の防止を目的に検討されている土砂災害防止法の改正。いざというときに適切な行動がとれるよう、避難体制を事前に整えておくことが今後の大きな課題です。 (阿部綾奈/ノオト)