昭和ノスタルジーだけじゃない! 「ドライブイン」がサービスエリアのフードコートを凌駕する根本理由
地域資源活用で生まれた新価値
ドライブインは、それぞれの立地や特徴を活かして独自の価値を生み出している。 例えば、千葉県君津市の猟師工房ドライブインは、地域の獣害対策から生まれたジビエを活用し、地元食材と確かな技術で本物の味を提供している。このドライブインは、道の駅ふれあいパーク・きみつの片倉ダム記念館内にあり、地域の課題を観光資源として活用する新しい価値を生み出している。 また、静岡市の梅ケ島ドライブインは、土地ならではの景観や温泉を活かした空間づくりをしており、訪れる人々に居心地のよい時間を提供している。 さらに、群馬県みどり市の草木ドライブインも注目すべき事例だ。1976(昭和51)年に草木ダムの完成とともに開業し、2005(平成17)年にリニューアルされたこの施設は、道の駅「富弘美術館」と一体化しており、ドライブインが道の駅の売店や食堂を担う形態をとっている。 このような公営と民営が共同で道の駅を運営する事例は珍しく、登録当初は全国初だった。美術館と連携した文化的価値に加え、店内で作られるよもぎまんじゅうなど地域の名産品を提供しながら、草木湖の絶景を望む立地を活かして観光客に憩いの場を提供している。 これらの事例は、規格化されたFCでは再現できない、ドライブインならではの価値創造の可能性を示している。その土地の自然や文化、地域の課題を観光資源として活用する創造性こそ、ドライブインの本質的な強みといえるだろう。 後に、あなたはドライブイン派か、それともFC派か。「比較できない」「目的が違う」などと無難な返事はなしにして、このテーマについて個人的な意見を聞かせてもらいたい。もちろん、この記事もあくまで筆者の個人的な見解にすぎない。
星野正子(20世紀研究家)