昭和ノスタルジーだけじゃない! 「ドライブイン」がサービスエリアのフードコートを凌駕する根本理由
FCの効率重視、味の制約
いくつかの重要な点について考えてみよう。 まず、提供される食事の質の違いに注目したい。FCでは、基本的にファーストフードや定食など、 「限られたメニュー」 しか提供されていない。確かに最近ではご当地メニューを取り入れる試みも増えてきているが、それでも本質的な差は依然として存在している。なぜなら、これは単に 「メニューの種類が少ないという問題」 ではないからだ。FCでは効率性が重視され、調理はマニュアル化されている。そのため、ご当地メニューを提供しても、最終的には ・画一的な調理法 ・長期保存を考慮した食材選定 に制約されてしまう。 一方、ドライブインでは、小規模であるがゆえに、個性が光る。地元の生産者から新鮮な食材を調達し、その日の状態に応じて臨機応変に調理するため、 ・味そのもの ・体験 の両面で優れた価値を提供している。このように、FCがどれだけ品数を増やしても、ドライブインが持つ本質的な強みには及ばないのだ。
「旅の一部」であるドライブイン
次に、 ・居心地のよさ ・雰囲気の違い に注目しよう。ドライブインでは、移動の途中であっても、ドライバーや乗客がゆっくりと落ち着ける空間を提供している。 渓流沿いのテラス席や、水平線を望む窓際の特等席など、その土地ならではの景観を生かした開放的な空間が広がり、リラックスできる雰囲気を作り出している。また、車を停めて直接入ることができる気軽さもあり、忙しい移動の合間に 「旅の一部」 として楽しめる魅力がある。 これに対し、FCはどれだけ改装しても、 ・混雑時の席の譲り合い ・他の利用者の出入りが頻繁であること を意識せざるを得ず、リラックスできる空間としては限界がある。そのため、休憩のためのスペースとしては機能していても、本当の意味での居心地のよさには欠ける。 結局、移動途中の休憩という同じ目的であっても、その空間の質において、FCはドライブインが提供するくつろぎの価値には届かないのだ。