たった3畳で「生活の質」がうなぎ上り! マイホーム難民勢の目を覚ます「半屋外のテラス」を猛プッシュ
---------- 人生でいちばん高価な買い物、マイホームをせっかく建てたのに、「こんなはずじゃなかった」と後悔する人があまりに多いのはなぜなのか? 気鋭の建築家・内山里江氏は言います。 「日本人が家づくりに失敗する最大の理由は、たとえば『家は南向きじゃなきゃダメ』とか『窓は大きいほうがいい』といった『間違った常識』によるものです。私は本書でそうした間違った常識をすべてひっくり返します」 内山氏の最新刊『家は南向きじゃなくていい』から、間違いだらけの家づくりをしないための方法を連載形式でお届けします。 ---------- 長きにわたって住む「家」にテラスを設けるといい理由
人目を気にせず外遊びができる場所
室内からつながっており、屋根がかかっている屋外のスペースをテラスといいます。こちらの記事で、布団や洗濯物を干すためのバルコニーやテラスはいらない、というお話をしました。しかし、あえてそのような半屋外のスペースをつくることもあります。「家にいながら外とつながった空間で楽しみたい」などのリクエストがあるときです。 半屋外でできる遊びはいろいろとあります。子どものビニールプール、バーベキュー、屋外での映画上映会、ホームパーティー。どうでしょう、ワクワクしてきませんか? 室内の延長線上にある外空間は想像以上に便利なものです。ちょっと外の空気を吸いたいけど着替えて出かけるのは面倒なとき、人目を気にせずふらっと出られるスペースがあると、生活は格段に豊かなものになります。 このときに大切なのは「周りから見えないこと」です。住宅が密集して建っていることの多い日本では、庭やテラスをつくっても周囲から丸見えで使いづらい……ということが起こりがちです。しかし、周辺環境をしっかり把握したうえで、外から見えない形でつくったテラスは、自分たちだけのスペシャルな空間になります。
たった3畳がもたらす生活の豊かさ
大阪の街中で、狭小地といってもよい土地に2階建てのおうちを建てたときの話です。 3方向を隣接する住居で囲まれた、1階と2階を合わせても延べ床面積が24.5坪(81.16平方メートル)のコンパクトなおうちを建てたのは、ご主人と奥さま、お子さんひとりの3人のご家族です。 ご主人は革靴を磨くことと葉巻がお好きという洒落たご趣味をお持ちでした。靴は見えない場所にしまいたくなるものですが、磨き上げたお気に入りの革靴なら見せる収納もさまになりそうです。そこで、玄関からつながる土間部分に棚を入れて、革靴コレクションを並べられるスペースをつくる計画を立てていました。 私は「このようなご主人なら家にテラスがあれば喜ぶのではないか」と思い、テラスのある間取りを提案しました。 とはいっても、3畳程度のかなりコンパクトなものです。2人掛けのソファセットとグリルセットを置けばそれでいっぱいの空間です。しかし、「この面積でテラスがつくれるとは思わなかった」と非常に喜んでいただけました。というのも、3方向を囲まれた狭小地でありながら、テラスから眺められる南東方向は唯一視界が抜けており、テラスを通じて明るい光も室内に取り込めるのです。もちろん、ご主人がここで趣味の葉巻を存分に楽しむこともできます。 もともと本人たちから「テラスをつくってほしい」というはっきりした希望があったわけではありませんが、このご家族の丁寧な暮らしやこだわりに、テラスのある空間は見事にはまったのでした。 続きは<車には数百万かけるのに、家にはかけない謎。長きにわたって住む「家」にテラスを設けるといい理由>で公開中です
内山 里江(一級建築士 株式会社コモドデザイン代表)