G20 共同声明で世界経済の「下振れリスクが高まっている」と警鐘
【ワシントン=坂本一之】20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は24日、米ワシントンで2日間の日程を終え、閉幕した。世界経済の下振れリスクを指摘し、保護主義による経済的な分断が進まないよう取り組みを求める共同声明を採択した。共同声明をまとめるのは前回の7月に続き、2会合連続。 共同声明は、世界経済に関し、物価高を抑えながら景気悪化を回避するソフトランディング(軟着陸)への「良い見通しを持っている」と明記。一方で、ロシアのウクライナ侵略や中東情勢などを念頭に「戦争と激化する紛争、経済的な分断、一次産品価格の過度な急騰などの下振れリスクが高まっている」と警鐘を鳴らした。 11月の米大統領選で共和党候補のトランプ前大統領が対中関税の引き上げなどを掲げる中、G20は「保護主義に抵抗する」との従来方針を改めて示した。途上国の債務問題に関し迅速に取り組むことも確認した。 ただ、共同声明に世界経済の下振れリスクであるロシアのウクライナ侵略やパレスチナ自治区ガザの情勢を明記できず、7月と同じく議長声明で言及した。 議長声明は、一部参加者がG20をウクライナやガザの「問題を議論する場だと考えていない」とし、ロシアの侵略などを非難する日米欧と中露の対立構図が続いている。 一方、加藤勝信財務相は閉幕後の記者会見で、為替相場で円安圧力が強まっていることを巡り、会議の中で「過度な変動に注意を払う必要がある」と発言したと説明した。共同声明でも、過度な変動が経済に悪影響を与えるとの過去の合意を再確認した。 また加藤氏は24日、イエレン米財務長官と会談し、為替相場の動向に関し日米間で緊密な意思疎通を図っていくことで一致した。