伊勢在住の小説家・秋杜フユさん、地元商店街の駐車場係が主人公の小説出版
伊勢市出身・在住の小説家・秋杜(あきと)フユさんが10月17日、実際に地元にある商店街の駐車場係員を主人公にした小説「ようこそ伊勢やなぎみち商店街へ 瓦版とあおさのみそ汁」を集英社オレンジ文庫から出版した。(伊勢志摩経済新聞) 【写真】【その他の画像】伊勢出身の小説家・秋杜フユさんの新作「ようこそ伊勢やなぎみち商店街へ 瓦版とあおさのみそ汁」 秋杜さんは、伊勢市内の厚生小学校・中学校、宇治山田高校を卒業後、ゲームデザイナー・モーションデザイナーを目指して専門学校で学び、ゲーム関連の仕事に就くが結婚を機に伊勢市に。2013(平成25)年「幻領主の鳥籠(とりかご)」でノベル大賞を受賞、「さまよえる本に結末を ウィルブック・ハンターあるいは甘い憂鬱(ゆううつ)」でデビューする。「ひきこもり」シリーズ、「うちの殿下」シリーズ(以上、コバルト文庫)など16作品を世に出した。 新作は、とある事情で東京での仕事を辞め、商店街で喫茶店を営む実家に帰り、その商店街の駐車場係員を始める青年・高遠健一を主人公に、商店街で起こる日常の出来事を短編4作「瓦版とあおさのみそ汁(すし店を訪ねる青年)」「夜店の金平糖と人の縁(捨てられた彼女)」「もちつもたれつカボチャサラダ(遅刻する小学生)」「夢をかなえるさくさく天ぷら(復活した小料理屋)」に収め、それらの出来事に対して健一が、商店街が発行する瓦版にコラムを添える。謎の小説家・絃來田兼人(いときたかねと)とその小説が、物語に度々登場し、絃來田の人物像が解き明かされていく。 秋杜さんは「子どもの頃から、漫画をよく読んでいた。授業中でもキャラクターを設定して不思議な物語の主人公になって妄想している少女だった。今となっては、それら幼少時代の体験が小説の作品作りに生かされているのかも。小説家になることを夢にしていた夫との結婚がきっかけで、自分も小説を書いてみようと思っていると、夫から『月に小説1作品を投稿するように』と課されたことも今の自分につながっている」と話す。 新作では、伊勢市内にある「しんみち商店街」と「高柳商店街」を1つにした「やなぎみち商店街」が舞台となり、市内にあるか過去にあった施設や店をモデルに、秋杜さんの幼少期の体験や伊勢ならでは日常が描かれている。 秋杜さんは「本の表紙にイラストを入れるためにイラストレーターから俳優でイメージする人がいればと聞かれたので、健一は、かわいらしい感じで髪型は長過ぎず短過ぎず、松下洸平さんか窪田正孝さんで。健一の幼なじみの晴人はふわっとウエーブの少し長めの髪型で井浦新さん、綾野剛さん、津田健次郎さん…。晴人の妹の充美は北川景子さん。健一の母・花江はおっとりだが肝っ玉母さんのイメージから薬師丸ひろ子さんで。とリクエストした」と打ち明ける。 「伊勢の2つの商店街にもあいさつに行き、公認を頂いた。駐車場の係員が主人公っていいなぁと思い、前から温めていた設定と合体させて、昔ながらのコミュニティーのすてきなところを、商店街で生まれ育った主人公が伝えていく心温まるストーリーに仕上げた。続編も出版できるように準備を進めている。ドラマ化、映画化も目指したい。伊勢の人には、作中に登場する施設などを思い浮かべてもらえれば」とも。 価格は792円。全国の書店で扱う。
みんなの経済新聞ネットワーク