令和の時代に黄金期を甦らせた昨年の覇者・オリックス。吉田松陰のような志を持った中嶋聡監督は現代の名将だ!【堀内恒夫の悪太郎の遺言状】
26年前にシリーズで敗れたときは落合博満と2人でやけ酒を飲んだ
投打ともに充実する戦力と、その力をしっかりと引き出す中嶋監督の存在。黄金期を迎えつつあるオリックスが今季もパ・リーグの中心となる
今季のオリックスは最も手強いのではないかね。特にこの数年間は、球団の本気度を感じさせてくれる。 実は俺、2021年からずっと「今季のオリックスは台風の目になるだろう」と言い続けてきたんだ。そうしたら本当にそのとおりになって、2年連続リーグ優勝を飾った。 しかも、昨年は2年連続日本シリーズで対決したヤクルトを下して、1996年以来26年ぶり、オリックスの前身である阪急時代を含めて5度目の日本一に輝いている。 オリックスが96年にシリーズ制覇したときの相手は巨人だった。俺には苦い思い出がある。そのときの監督は長嶋茂雄さんで、俺はヘッドコーチを務めていた。 その時点では3年連続首位打者のイチローを中心に、トロイ・ニール、田口壮らが顔をそろえる破壊力抜群の打線と、速球派の野田浩司とスローカーブが持ち味の左腕・星野伸之、抑えの鈴木平などの強力な投手陣に歯が立たなかったんだよ。 巨人はオリックスに1勝4敗で敗れて2年ぶりの日本一を逃した。俺たちは2対5で敗者となったグリーンスタジアム神戸(現ほっともっとフィールド神戸)での第5戦の試合後に、茫然自失としていた。 敗れたその夜に俺は、巨人の主砲だった落合博満と宿舎の娯楽室で朝までやけ酒を飲んだ。それほど悔しかったということだよ。 当時からオリックスは攻撃力と投手力が高いレベルで拮抗している、バランスのとれたチームだった。そのオリックスの黄金期が、令和の時代に甦ったというわけだ。 21年に25年ぶりのリーグ優勝を飾ったオリックスは・・・
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週刊ベースボール