【バスケ】石川海斗「意地でもB1に残りたい」 残留争う信州ブレイブウォリアーズに見えた成長とは
苦しいPG事情も「常に勝つためにベストだと思うことを」
チームの成長が見られる一方で懸念点もある。ポイントガード(PG)事情だ。「ポイントガードはコート上のHC」ともいわれ、選手をまとめるリーダー的な役割が求められるポジションでもある。 現状、信州の先発PGは石川海斗、2番手がロン・ジェイ・アバリエントス、3番手が山本といったローテーションを組んでいる。川崎戦のPGの出場時間を見てみると、第1戦は石川が31分47秒、アバリエントスが0分、山本が6分。第2戦では石川が25分35秒、アバリエントスが6分21秒、山本が4分40秒。アバリエントスがケガ明けでコンディションが万全ではなかったものの、出場時間に偏りが出ているのは間違いない。石川の出場時間は直近5試合で平均28分と増加傾向にあり、特に信州は激しいディフェンスからリズムをつかむチームなだけに、PGの体力面の消耗は非常に大きい。 自身への負担が大きくなっていることについて石川は「正直苦しい部分はすごくある」と本音を吐露する。「ただ、僕は、コーチ、マイケルの考え方を理解している分、本当にコーチは中途半端な選手に任せるコーチではない。チームのプレーだったり、戦略・戦術を理解しないでやっている選手を出すコーチではないと思っている。ずっといっているが、僕はコーチのバスケットが日本一だと思っているし、日本一僕はコーチのバスケットが好きなので、そういった意味では、本当にいい方を悪くしたら僕はコーチと心中するつもりで来ている」と指揮官への信頼を口にした。 一方で勝久HCも「海斗の調子も含めて、今のチームの状況でウェインも戻ってきて、多分海斗もやりやすくなっていると思う。彼のプレーが素晴らしくて、我々はやっぱり海斗をできる限り使いたい」と信頼を寄せている。 石川中心となっているPGの起用法についても、指揮官は自身の考えを包み隠さずに共有してくれた。 「(アバリエントスは)前回(川崎との第1戦)まではケガだったが、RJ(アバリエントス)はいつもシュートを打ちたい、それを恐れない。そういう気持ちは素晴らしい。だが、チームのプレーというのは、彼のシュートが入る、入らないだけではなくて、出ている時にオフェンスもディフェンスも上手くいくか。勝ちに繋がるかというところで判断をしないといけない。群馬戦でも、横浜戦でも(山本)楓己は良かったと思う。結局、今シーズンRJの合流が遅れて、ほとんどトレーニングキャンプにいなかったのも大きい影響はあったと思うが、プレータイムを長くあげてみては、またプレータイムが下がったりする繰り返しになっている」 指揮官は続ける。 「ただ(石川を)2、3分彼を休ませるために、崩れないように安定を取るなら楓己が良いと思っていて。ただ疲労も溜まっているのは分かっている中で、今日(川崎との第2戦)の前半はRJをトライしたが、持ち前の強い気持ちと自信ですぐに3ポイントを決めたところもあれば、流れが悪くなったところもあった。要は常に勝つためにベストだと思うことをやっている」 出場時間がなかなか確保できない山本だが、自身の役割を理解し、チームに貢献するための準備を続けている。 「試合に出す、出さないはマイケルさんが決めることなので、そこに関してはコントロールできないと思っている。ただ、今日みたいに前半は出なくて後半に出るという時でも、しっかり一つずつ結果を出して、マイケルさんが求めていることを理解して、それをハイレベルで遂行してインパクトを与えていけば、自ずとプレータイムは増えてくる。そうすればよりチームの勝利に貢献する時間が増えると思う」 山本は続ける。 「やっぱりもっと戦いたい。試合に出ないと戦えないので、コートでは。もっと試合に出て、自分が戦ってしっかり勝利に貢献するという経験をもっとしていきたい。そういった意味では信頼を勝ち取っていくことが大事なのかなと思う。そこはいつでも準備が出来ている状態で、前半に出ていなくても後半に出て、ちゃんとインパクトを残すことを地道に積み重ねていくしかないと思っている」 山本もアバリエントスも勝久HCの下でプレーするのは今季が初めてであり、システムの理解度では石川に劣る部分があるのは仕方ない。だが、残りの試合を戦い抜き、信州がB1残留をつかみ取るためには、両PGのステップアップが必須になってくるだろう。