「中国自動車最大手」の座が上汽集団からBYDへ 1~9月の国内販売逆転、上汽集団は海外でも苦戦
中国の自動車業界で18年連続で最大手の座を維持してきた上海汽車集団(上汽集団)が、首位転落の瀬戸際に追い込まれている。 【写真】上汽集団の傘下にある「MG」ブランドのオランダの販売店 同社が10月10日に発表した販売実績によれば、2024年1月から9月までのグループ販売台数(メーカー出荷ベース)は264万9000台にとどまり、前年同期比21.6%減少した。 それに対し、8月まで第2位だった比亜迪(BYD)は1~9月に前年同期比32.1%増の274万8000台を販売し、ついに上汽集団を抜いた。このままいけば、2024年の年間販売台数でもBYDが首位になる可能性が濃厚だ。
■「三本柱」がそろって不振 上汽集団の乗用車事業は、ドイツのフォルクスワーゲン(VW)との合弁会社「上汽VW」、アメリカのゼネラル・モーターズ(GM)との合弁会社「上汽GM」、独自ブランド車を手がける「上汽乗用車」の3社を柱にして展開されている。 それらのうち上汽VWと上汽GMの2社は、他の外資系合弁メーカーと同様に中国自動車市場の急速なEV(電気自動車)シフトへの対応が遅れ、市場シェアを大きく落とした。2024年1月から9月までの販売実績は、上汽VWが77万2000台と前年同期比7.2%減少、上汽GMは27万8000台と同61.6%も激減した。
上汽乗用車は合弁2社よりも積極的にEVシフトを進めたが、中国メーカー同士の激しい競争のなかで埋没してしまった。同社の1~9月の販売実績は48万1000台と前年同期比26%減少。EVとPHV(プラグインハイブリッド車)を売りまくるBYDの躍進とは対照的だ。 上汽集団はヨーロッパ市場などでの海外事業も、2023年までの好調から一転して苦戦を強いられている。中国からの輸出と現地生産を合計した海外販売台数は、2023年には120万8000台を記録し、中国メーカーの海外市場開拓の先頭に立っていた。
ところが、上汽集団はヨーロッパ市場の開拓に重点を置いていたことが裏目に出た。2023年10月、欧州委員会(訳注:欧州連合[EU]の政策執行機関)は中国製EVを対象にした反補助金調査に着手。2024年7月には追加関税の暫定適用が始まり、上汽集団製のEVには36.3%もの追加関税が課された。 その打撃は2024年の販売実績にはっきり表れている。上汽集団の1~9月の海外販売台数は輸出と現地生産の合計で73万9000台と、前年同期より11.8%減少した。