追う阪神が巨人を倒すプランとは?
私は開幕前にマートン4番説を唱えていたが訂正したい。 「ショートで4番」は、体力的にも精神的にも厳しいかもしれないが、残り30試合は、「3番・マートン、4番・鳥谷」という布陣で、生え抜きのチームキャプテンに勝敗を背負った場面で打ってもらいたいのだ。彼にとってはプレッシャーにはなるだろう。しかし、4番の責任を背負えば、鳥谷は、さらにもう一段階プレーヤーとしてレベルアップするのではないだろうか。元々、選球眼はいいのだから、打率は3割あってもいいはずなのだ。技術的に見ても、なぜ3割を打てないのかが不思議で仕方がないが、もうひとつ強くボールを打っていないように感じる。元来、ヘッドを返さない、昔の藤田平さんのような独特のバットの使い方をする。ヘッドを押し込むので、スライス回転が増え、打球が弱く、ゴロやフライが抜けない。そういう技術面をクリアにする意味でも、バットを振らなければならない4番は、刺激になるはずだ。そして、阪神生え抜きの打者が責任感を持って結果を出すと、チームに巨人のような一体感が生まれてくる。 4番不在。それは金本が4番を外れて以来、阪神に突きつけられてきた命題である。なおさら、鳥谷に賭けてもらいたいのである。 投手陣に関しては、対巨人でカギを握るのはルーキーの藤浪だろう。右バッターは、あのクロスステップから抜けてくるような荒れ球に恐怖感を抱く。もう1度、早い段階で巨人に当てて自信を持たせておきたい。ただ、左腕、能見は、もう巨人に通用することはわかっているのだから、あえて、その先のクライマックスシリーズを見据えて“隠す”という戦術もあっていいと思う。いずれにしろ伝統の阪神―巨人戦の重みを胸に来季への希望の光を見せてもらいたいのである。 (文責・掛布雅之/構成・本郷陽一)