追う阪神が巨人を倒すプランとは?
今年のセ・リーグのペナントレースは、「2強4弱」ではなく「1強1普通4弱」である。おそらく阪神の2013年シーズンは、このまま2位でゴールする可能性が極めて高いだろう。だが、最後まであきらめず例え巨人を逆転できずとも来年以降、希望の持てる2位にしなければならないと思う。 では希望の持てる2位とは何か。 私は5ゲームという現在の巨人と阪神のゲーム差以上の差が、両球団にはできてしまっていると感じる。そのひとつは、誰が見ても明らかな選手層。一軍のベンチ入り選手だけでなく2軍のメンバーも含めての選手層は12球団の中で抜けた存在だろう。そして巨人には、「こういうチームにしたい」というコンセプトが見える。 まず生え抜きの選手がお互いに刺激を受けチーム内に競争心が満ち溢れている。阿部、長野、坂本と言った選手が中心にいて、チャンスをもらう生え抜きの若手が、次から次へと結果を出す。ここ数年、いかにも巨人らしいドラフト戦略も見受けられたし、FAで杉内、村田と言った大物も取っているが、杉内に関しては対阪神、内海への刺激という目的があり、村田に関しては、守備力に不安のあったラミレスが去り、小笠原が低迷という状況の中で「三塁、クリーンナップ」というチームの穴を埋める目的があっての補強。チーム作りに関しての長期ビジョン、短期ビジョンのバランスがいい。 対して阪神はどうか。 上本が育ちつつあった二塁に西岡を獲得し、外野では、その素材のいい悪いは抜きにして育てなければならない慶応出身のドラフト1位、伊藤隼太がいるというのに福留を獲得してポジションをひとつ消した。本来補強すべきは、藤川球児が抜けたストッパーと4番打者ではなかったか。そこの補強をおざなりにしたままで若手のチャンスを摘んだ補強策に「今年1年をなんとかしたい」という短期ビジョンは見えても、来年、再来年の長期ビジョンが見えない。ひと昔前の批判されていた巨人のチーム作りを後追いしているようにさえ見える。 阪神は、安定した投手力を中心とした守りの野球である。私が監督でも「今日勝ちたい」ならば守備力のある福留を例え打率1割であっても外野で使うだろう。しかし、そこに未来が見えるのかということである。優勝を目指すための補強だったはずが、巨人に大差をつけられての2位で、そこに意義や希望があるのだろうか。 厳しい意見を言うようだが、もし阪神のフロントが、今年の補強と、今の戦い方、結果について納得をしているのならば危ない。再び暗黒時代に足を踏み入れる恐れさえある。