ほうれん草を食べると口の中が不快に感じるのはなぜ? 防ぎ方も解説
※この記事は、海外のサイト『delish』で掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。 ほうれん草の葉には豊富な栄養素が含まれているけれど、この野菜にも不都合がないわけではない。大きなファミリーサイズの袋を買ったのに、調理すると小さなお子様サイズに縮んでしまうし、小さな欠片が歯の奥に挟まることも多い。そのうえ、ほうれん草を食べると口の中に変なキシキシ感が残ることがある。 これはどうやら避けられないようで、サラダで食べても、にんにくと一緒にソテーしてもこの変な感じが残ってしまう。この現象の原因が気になったことがある人は、ぜひこの記事を読んでみて。ドレクセル大学の教授で食品科学者のローズマリー・トラウト博士に、ほうれん草に関するあれこれと、食べた時に感じるえぐみの理由について聞いてみた。
ほうれん草のえぐみの原因
このえぐみの犯人は、シュウ酸と呼ばれる化合物だそう。私たちが口にする多くの食品にシュウ酸は含まれていますが、ほうれん草にはとくに多く含まれます、と話すトラウト博士。ほうれん草を噛むと、分解されたほうれん草からシュウ酸が放出される。 とはいえ、妙なキシキシ感を感じる前に、もう一つ段階がある。「ほうれん草は、鉄やカルシウムなどのミネラルと結合するため、反栄養素に分類されます」とトラウト博士。このとき、唾液に含まれるカルシウムがシュウ酸と結合して、シュウ酸カルシウムの結晶ができる。口の中でキシキシとした不快な感覚が起きるのは、このの結晶によるもの。
ほうれん草の変な感じは心配するべき?
ほうれん草を食べるときに形成されるシュウ酸カルシウムの結晶は、危険なものではない。実際これは、野生のほうれん草が捕食者に食べられるのを防ぐために身につけた自然の防御メカニズムの一部だそう。 たとえば玉ねぎで涙が出たり、唐辛子に辛さがあるけれど、これら多くの植物の防御メカニズムと同じように、ほうれん草もとくに問題はない。事実、シュウ酸は歯の知覚過敏を最小限に抑えるために歯科の分野でも使用されている。 唯一懸念すべきは、腎臓結石になりやすい人たち。「不溶性シュウ酸塩は、腎臓結石の原因となる結晶を形成する可能性があります」とトラウト博士は説明する。 コロラド州立大学の研究者らによると、腎臓結石の原因となるシュウ酸塩は、体内の老廃物として自然に形成されるものがほとんどで、必ずしも摂取した食べ物によるものではないという。したがって、ほとんどの人はほうれん草の摂取によって腎臓結石ができることを心配する必要はない。ただし、腎臓結石を発症しやすい人は、ほうれん草の摂取量に気をつけたほうがいいかもしれない。リスクが心配な場合は、医師に相談してみよう。