「裁判所は何のために存在しているのか」代理人が批判 「ストーカーは事実無根」訴えが門前払いされた理由
●二審「警告を行政処分とはしない立法がされた」
一審判決に対し、原告側が控訴。警告の取り消し、無効の確認に加え、(1)警告を受けた者として取り扱われない地位の確認、(2)警告を受けてから3年間銃刀法上の欠格者として取り扱われない地位の確認、(3)警察組織で利用するストーカー情報管理ファイルに警告を受けたことを掲載される地位いないことの確認、という3つの請求を追加した。 警告を受ければ、警察組織から危険人物であるとの認定を受け、永久にストーカー情報管理ファイルで記録管理され続け、人格的利益が毀損されるほか、銃刀法上の欠格事由としての効力があることから、警告は行政指導ではなく、命令またはこれに準ずる行政処分であるなどの主張も補足された。 しかし、二審・大阪高裁も、控訴を棄却し、3つの追加請求についても訴え却下との結論を下した。 ただし、処分性なしとした理由については、一審と少し異なった。 二審は、2008年の銃刀法改正によって、ストーカー規制法上の警告に銃刀類の所持許可を許さない絶対的な人的欠格事由となるとの法律効果が付与されたものとして、処分性の定義である〈直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定することが法律上認められているもの〉に「形式的には該当するとも解し得る」とした。 一方で、行政処分に当たるかどうかは、根拠法令等がその効力を取消訴訟で争わせるに値するものとして定めているか否かという「立法政策に帰する」と指摘。 2008年の銃刀法改正でストーカー規制法上の警告が銃刀類の所持許可を許さない絶対的な人的欠格事由となったものの、警告制度自体の見直しはなかったことから、立法者の意図として「これ(警告)を行政処分とはしない立法がされたものと捉えられる」との判断を示し、結論として警告には処分性がないとした。 警察組織がストーカー情報管理ファイルで管理していることについては、法律上の効果を有しない行政指導に関する情報を管理するものであり、命令またはこれに準ずるものと捉えるのは困難と判示。(1)~(3)の追加請求についても、確認の利益を欠いて不適法とされた。