政治資金規正法再改正へ溝埋まらず 立民、野党まとめ切れず行方不透明
与野党は4日、政治資金規正法の再改正に向けた2回目の協議を国会内で開いたが、焦点となっている企業・団体献金の扱いなどで折り合えず、溝は埋まらなかった。来週にも衆院の政治改革特別委員会が始まり、各党提出の複数の法案が並行審議される見通しだが、過半数割れする与党だけでは成立は見込めない。一方、野党第一党の立憲民主党も野党をまとめ切れておらず、再改正の行方は不透明なままだ。 ■「抜け穴」指摘に与党反論 日本維新の会・青柳仁士政調会長「国民が抜け穴だと思えば、信頼回復は達成できない」 自民党・渡海紀三朗政治改革本部長「抜け穴を作るつもりは一切ない」 与野党協議の会合では、自民が提示した「要配慮支出」を巡っても激しい応酬があった。要配慮支出は、議員外交上の秘密などを害したり、支出先が公表を拒否したりした場合に非公表とし、第三者機関が監査する仕組みで、自民が再改正案の柱に掲げた。 これに対し、野党からは「新たなブラックボックスを容認するものだ」などとの指摘が相次いだ。政治資金の透明性に関し、各党は使途公開が不要な政策活動費を廃止する方向性では一致するが、その他の部分では意見対立が目立つ。 会期が限られる今国会では政活費廃止など足並みがそろう課題を先行させて規正法再改正にこぎつける案もあるが、具体論では各党の主張が分かれ、与野党で成案を得るのは容易ではない。 ■企業・団体献金は野党も不ぞろい 立民は4日、政活費を廃止する法案を国民民主、日本維新の会、共産党などと共同提出した。立民は野党全党派に共同提出を呼びかけたが、れいわ新選組と衆院会派「有志の会」は加わらなかった。有志の会・福島伸享衆院議員は「立民案には抜け道があり、自民案以上に甘い可能性がある」と指摘する。 野党は衆院過半数を握るが、れいわと有志が反対すれば立民案の衆院通過はおぼつかない。 国民民主は政活費廃止では野党と足並みをそろえたが、最大の焦点である企業・団体献金に扱いについては禁止に慎重な姿勢を示し、立民などと距離を置く。 立民の大串博志政治改革推進本部長は会合後、「与党過半数割れの中、野党がまとまれば抜け穴がある案ではなく、しっかりとした成案を得られる」と野党結束を呼び掛けた。(小沢慶太、千田恒弥)