評論家が選ぶクドカンドラマ「ベスト5」 3位木更津キャッツアイ、2位不適切にもほどがある…1位は
結びつかない組み合わせ
●「タイガー&ドラゴン」(TBS)05年4月15日~6月24日 主演:長瀬智也、岡田准一 平均視聴率12・8% 「木更津キャッツアイ」から3年後に放送された「タイガー&ドラゴン」は、「木更津~」で見つけた“対比”の幅を広げた形で展開しました。つまり、落語とヤクザという結びつくはずのないもの、全く別ものを1本のドラマにぶち込んだ。しかも、主演の長瀬智也でいえば、昼間はヤクザで夜は落語家という二重生活もおかしかった。今でこそ落語界にはスターが生まれて盛り上がっていますが、この頃、落語は忘れられていたものでした。そんな中にあって、笑福亭鶴瓶はじめ、今では「笑点」(日本テレビ)の司会を務める春風亭昇太、放送作家の高田文夫らも登場し、長瀬や西田敏行の落語にも本物感があった。さらに、それをヤクザと一緒にひとつの鍋で煮込むことができるんだという面白さがありました。「木更津~」の岡田准一もよかったですけど、「タイガー&ドラゴン」には新たに長瀬が出てきた。クドカンにとっては長瀬の発見というのも大きかったと思います。 ――そして3本目が、あの名作だ。 ●朝ドラ「あまちゃん」(NHK)13年4月1日~9月28日 主演:能年玲奈(現・のん) 平均視聴率20・6% 碓井:言わずもがなではありますが、「あまちゃん」が名作たり得た要素はいくつもある。まずは朝ドラのヒロインの設定にご当地アイドルを持ってきたという発想。それから、能年玲奈が演じた天野アキの青春と、彼女の母である小泉今日子が演じた天野春子の青春を同時進行で描いたこと。もちろん、春子の青春は過去の話ですが、カットバックしながら同時に描いていきました。過去と現在を等価で扱うというのは「不適切にもほどがある!」と同じ描き方です。それに、流行にもなった「じぇじぇじぇ」などの名台詞の連発。また、それまで一般の視聴者はあまり見たことがなかった面白い役者たちが続々と出ていました。彼らはクドカンと同じ舞台俳優だったわけですが、ここから出てきた舞台の人たちが、今やドラマや映画といった表舞台で活躍しています。キャスティングもチャレンジングなものだったと思います。 ――4本目は?