【高校サッカー選手権】3連覇中の大津が大量8得点でルーテル学院を下して決勝進出
第103回全国高校サッカー選手権熊本県大会は熊本市水前寺競技場で準決勝3試合を行い、第1試合では大会4連覇を狙う大津と、2年ぶりの決勝進出を目指すルーテル学院が対戦した。 【フォトギャラリー】大津 vs ルーテル学院 お互いに4-4-2の布陣でスタートした中、序盤はルーテル学院がシンプルに前線にボールを送り、高い位置でプレシャーをかけることでやや押し込んでいく。しかし高円宮杯JFA U-18プレミアリーグWESTで首位を走る大津は、大きい展開でピッチを広く使って相手を揺さぶりながら前進することで10分ごろから流れを引き寄せると、コンディションの良さから先発に起用された左の小松皐、右の舛井悠悟の両MFが積極的に縦に仕掛ける形でルーテルゴールに迫る。 舛井が右を突破して中央へ入れたボールに山下景司が合わせた10分のシーンはオフサイドの判定となり、卒業後は清水に加入する嶋本悠大から右へ展開した11分も得点に結べない。しかし12分、「相手がつないできたので、チャンスがあればと狙っていた」という山下が、相手ゴールキックの場面でプレッシャーをかけ、「股の間からつついて」(山下)ボールを奪い、そのまま持ち込んで右足で流しこみ先制。 「序盤、アグレッシブに出てこられて少しバタついたが、相手を見て判断することを1年間積み上げてきた。相手が引いたらこう、前から来たらこう、と準備していた部分はあっても、実際にそれをやるのは容易ではない中、(ボールを)受ける前の準備ができる場面が増えていったのが良かった」と山城朋大監督が振り返ったように、先制を境に落ち着きを取り戻した大津。自陣からつないで組み立てを図るルーテル学院に対して山下、兼松将の前線が高い強度でプレッシャーをかけると、奪ってからはサイド、中央と状況に応じた展開で押し込んでいく。すると21分、畑拓海からのボールを受けた舛井が仕掛けて折り返し、ゴール前に入ってきた右サイドバックの野口悠真が決めてリードを広げる。その後も少なくないチャンスを作りながら3点目は奪えなかったが、2-0で前半を終えた。 後半も大津が押し込み、50分、53分と左右のクロスからチャンスを作る。これらはゴール前で合わなかったが、54分、畑からのボールに抜けた舛井が獲得したPKを山下が決めて3-0。 「点を取るためだけにサッカーをしているような男」と山城監督が評する山下は、その後57、58分と続いた決定機こそ逃したものの、59分、嶋本からのパスに抜け出し、ルーテル学院のGK久保田大翔もかわして左足でファーに流しこみ、ハットトリックを達成。 4点ビハインドを負ったルーテル学院も反撃に出るが、奪ったボールを前に運べず、長いボールを送っても前線になかなか収まらない状況で、フィニッシュまで持ち込めない苦しい展開が続く。これに対して大津は、五嶋夏生、村上慶のセンターバック2人が冷静に声をかけ合いながら自陣深くまでの侵入を許さず、その後も交代出場した岩中翔大、山下虎太郎、松本昌大が得点を重ね、終わってみれば8-0の大勝。磐石の戦いぶりで決勝進出を決めた。 「1年生の時から経験を積んできた選手たちが主力になり、攻撃、守備ともに連動してバランスよくやれている。軸があるのはいいが、固定しすぎるとフレッシュさがなくなるので、これから出てくる選手、サブの選手たちにも期待したい」と山城監督。 キャプテンとしても存在感を見せた五嶋は、「無失点で終われたのは良かったけど、フィニッシュの質はまだ課題。(第2試合の熊本国府、東海大熊本星翔)どちらが勝ち上がってきても決勝は簡単ではないので、決勝までに改善したい」と、8ゴールの大勝にも厳しい表情。前回大会、そして今夏の全国高校総体と、「負けた悔しさを知っている選手が何人もいるので、選手権は自分たちの100%の力を出して、結果にこだわりたい」と、4連覇とその先にも目を向ける。 (文・写真=井芹貴志)