「障害者スポーツは福祉ではない。競技だ」カンパラプレス・越智貴雄代表
「知らないことを知る」が原動力に
まずはウェブメディアを作ったんです。アテネパラリンピックのときなんですが、選手のことを知ってほしいと「超人列伝」というドキュメンタリーを伝えていくことからスタート。フォトギャラリー作ったりと、できることを精一杯やりました。しかし、ウェブを見てくれるのは1日に5人とか10人しかいなかった。なので売上を確保するために、新聞社や雑誌社など100社を超えるメディアに売り込みをかけたんです。そして、2004年にパラリンピックの特集を作りたいと言って、しっかりと対応いただいたのがヤフーさんやスポナビさんだったんです。そこが始まりでした。 2020年東京パラリンピック決まってからカンパラプレスの閲覧数が伸びてきて、写真や記事を買っていただける取引先が確実に増えてきています。ネットメディアの受け取り方が変わってきたというのがあると思うのですが、カンパラプレスを読んでいただけたことで、週刊誌や新聞社から声がかかることが増えてきました。アクセス数は多くありませんが、メディアが見てくれることで協力関係が築けるようになってきています。 ただ、パラリンピックイヤーでないときの障害者スポーツに対する反応は弱い。それでも続けられるのは、私の「知らないことを知る」ことが原動力になっています。パラリンピックの競技以外も追いかけているんですよ。 パラリンピックは動力を使ってはいけませんが、サイバスロンという動力を使ってもいい大会があるんです。これがまた面白いんです。第一回大会が今年10月スイスで行われました。重度の障害をもった人が、全身にロボットスーツのような外骨格をつけて歩く競技や、首から下から動かない人が脳波でスーパーマリオのようなゲームのキャラクターを動かすゲームをやるんです。重度の障害でも、競技だから、そこに集中しているのでカッコイイんですよ。次に東京で行われると言われています。 僕のなかではインターネットメディアというショーケースに写真や記事を出したい。こういう競技があることを知ってもらい、関心を持ってくれる人が広がればいいなと。ウェブだからできることだと思うんです。いいコンテンツさえ出していれば、多くの人に読んでもらい、考えてもらうことができる。最近では、パソコンユーザーよりもスマートフォンのユーザーの方が多くなり、見てもらえる人が増えました。10年前だとできなかったんです。