フランスサッカー界の英雄、ジネディーヌ・ジダンによる聖火ランナーは実現するのか？（写真：Jonathan Moscrop/Getty Images）

パリ2024オリンピックの開会式は、7月27日（土）未明（日本時間）に行われる。現在のパリ市内の様子も含めた大会全体の見どころについて、スポーツジャーナリストのフローラン・ダバディに訊いた。 【写真を見る】コンコルド広場、エッフェル塔スタジアムなど、注目競技の会場をチェック！

最終聖火ランナーはジダンなのか？

オリンピックの開幕を間近に控えたフランスの街は、どのくらい盛り上がっているのか？ フローラン・ダバディは、パリの熱を肌で感じるために、1年ぶりにフランスへ帰国、3カ月ほど滞在して取材を行っている。大会期間中は、レキップの特派員として日本国内の盛り上がりやメディアの反応を日本からリポートする予定の彼に、パリの雰囲気やインフラの整備状況といった現地の最新情報、フランスで注目されている日本人選手や注目すべき競技会場について、オンラインで尋ねた。 ──まずパリの街の受け入れ準備、インフラ整備の進捗状況からうかがいます。 パリオリンピックのキーワードが町おこしなんですが、目玉のひとつが地下鉄14号線の延伸です。北方向の終点が新駅のサン・ドニ・プレイエル駅で、ここが選手村に一番近い駅になります。隈研吾さんが駅舎を設計したことで日本でも話題になりましたね。6月17日に取材に行ったときには、駅舎そのものは完成していましたが、周囲の植栽などはまだ何もありませんでした。 ──選手村にも行かれましたか？ 準備中でしたが、東京オリンピックの選手村よりこぢんまりとしていて、かわいい印象でした。セーヌ川沿いなのでアットホームというか、平和な雰囲気です。 ──街の雰囲気はいかがでしょう。 自転車専用の道が増えました。日本みたいに道路に矢印がペイントされているだけではなく、オランダやデンマークのように完全に隔離されて自動車が入れない道なので、事故の心配がありません。3車線の道であれば1車線を潰して自転車専用レーンにしています。自転車の移動は本当に快適で、地下鉄と自転車でどこへでも行けます。これだとバスはなくなるんじゃないかな。トゥーリストのための貸し自転車も盛況だし、自転車ユーザーが増えました。 ──フランス人が注目する日本人アスリートは誰でしょうか？ フェンシングの女子サーブルは、フランスのサラ・バルゼと江村美咲の決勝になる可能性が高いので、江村の名前はよく出ます。今年は大体同じレベルで競っているから、おもしろい対決になりそうです。 5月のテニスの全仏オープンで男女問わずにベストマッチに選ばれたのが、大坂なおみと世界ランキング1位のポーランド人、イガ・シフォオンテクが戦った2回戦でした。オリンピックの会場も同じローランギャロスということもあって、大坂は注目されています。ご存知のように大坂のお父さんはフランス語圏のハイチ出身ですから、フランスのファンやメディアが大坂を応援するのではないかと予想しています。東京オリンピックは残念ながら3回戦で敗退してしまったので、リベンジしたいでしょうね。 ──やはり注目は柔道です。 東京オリンピックの柔道混合団体、日本はフランスに負けて銀メダルでしたね。日本はフランスにリベンジしたいでしょうし、フランスのスポーツファンはもう一度日本と決勝で当たってほしいと、楽しみにしています。阿部詩の最大のライバルはフランス人のアマンディーヌ・ブシャールですが、決勝で当たると盛り上がるでしょうね。 ──東京オリンピックの柔道女子52kg級では、延長戦の末に阿部がブシャールを下しました。 今回もどちらかというと阿部のほうが優勢ですね。いずれにせよ、いい勝負になると思います。 ──他の競技はいかがでしょうか？ 日本人選手で記事になっているのが、体操で個人総合2連覇を目指す橋本大輝、ブレイキンの半井重幸（Shigekix）といったところです。 サッカーでは、男子日本代表は金メダルの本命ではないけれど、高く評価されていますね。7月17日のフランス代表との親善試合を拝見しましたが、日本は強かったです。決勝トーナメントに進むとおもしろい存在になるんじゃないかな。 フランス代表も楽しみです。というのも、監督はティエリ・アンリで、ヨーロッパのビッグクラブはオリンピックにあまり選手を出したがらないんですが、アンリは自分の人脈を使って選手を集めたようです。セカンドチョイスぐらいの選手が揃いましたから楽しみにしています。