柔道はフランスと日本の一騎打ち

──フランス人が応援している自国のスター選手は誰でしょう。 男子柔道の100kg超級のテディ・リネール。パリで金メダルを取ると3個目ですから、野村忠宏に並びます。彼は34歳、引退を口にしていないけれど、パリ大会を金メダルで締め括ったらきれいですよね。あとはラグビー界の英雄、アントワヌ・デュポンが、15人制のフランス代表を辞退して7人制ラグビーで金メダルを狙っていることも注目されています。 バレーボールやバスケットボールといったチームスポーツの調子が良いことも話題になっていて、特にバスケはアメリカのNBAのドリームチームとの対戦を楽しみにしている人が多いですね。 ──注目の競技会場はどちらでしょうか？ ブレイキン、スケートボード、BMXフリースタイル、バスケの3✕3mなどのアーバンスポーツはコンコルド広場が会場です。スケボーには12歳や13歳の女子選手もいますが、アーバンスポーツはみんな若いですね。そんな次世代の子どもたちが、エジプトから贈られたオベリスクの前で競技をする光景は、現代アートみたいでおもしろいですね。あとは観光振興の意味もあって、サーフィン競技を行うタヒチの海は美しい映像になるでしょう。 ──セーヌ川の水質が改善されて、マラソンスイミングとトライアスロンの選手が泳ぐと報道されています。 パリ市長は準備ができていると言っています。IOCも何も言わないので多分やるのでしょう。でも一般市民は賞金をもらっても絶対に泳ぎたくないと言っています（笑）。マクロン大統領は「自分も泳ぐ」と宣言していましたが、「総選挙で忙しいから行けない」と言いはじめたようです。新聞には、水着になった大統領の風刺画が掲載されていました（笑）。 ──開会式はセーヌ川で行うことがほぼ決まったようですが、聖火の最終ランナーは誰になると予想されていますか。 難しいですね。東京オリンピックはテーマがダイバーシティに決まっていたから、大坂なおみはある程度予想できましが、パリ大会は明確なキーワードがないんです。 ここ何十年かのフランスのスポーツ界のスターということになると、サッカーのミッシェル・プラティニやテニスのヤニック・ノアということになるんでしょうけど、プラティニにはFIFA汚職の問題がありましたし、なによりテニスとサッカーはもともとオリンピック種目ではなかったので、反発があるんです。 一方でマクロン大統領も含めて、アスリートやフランスのオリンピック・スポーツ委員会はダイバーシティを推奨していますから、移民系の人になるとは予想しています。 ──編集部にはジネディーヌ・ジダンを予想する声もあります。 ジダンはマルセイユを走る聖火ランナーを辞退しているんですね。断った理由はふたつ考えられていて、ひとつが彼は人前に出て目立つことが嫌いだから。もうひとつは最終ランナーに内定しているからマルセイユは断った、というものです。さて、どちらでしょうね。最終ランナーが誰になるのか、当日を楽しみに待ちましょう。