「2030kgの車体を軽々と異次元の世界に加速させる」 モータージャーナリストの松田秀士がマセラティ・グレカーレ・トロフェオほか5台の注目輸入車に試乗!
ステアリングを握ったマシンはすべてガイシャだった!
モータージャーナリストの松田秀士さんがエンジン大試乗会で試乗した5台のガイ車がこれ! アバルト500eツーリズモ・カブリオレ、ロータス・エミーラV6ファースト・エディション、マセラティ・グレカーレ・トロフェオ、メルセデスAMG S63 Eパフォーマンス、プジョー408GTハイブリッドに乗った本音とは? 【写真23枚】モータージャーナリストの松田秀士さんがエンジン大試乗会で乗った5台の注目輸入車の写真を見る ◆密接な友達 EPC会員の方を隣に乗せ西湘バイパスから箱根ターンパイクを走った。2名の方とそれぞれ異なるガイシャで走ったのだが、やっぱりホンモノのクルマ好きって会話が弾む。会話の中に、改めて気付かされることや、えっ!そうなの?そうだよね!など、聞けば聞くほどもっと勉強しなきゃ!って元気が湧いてくるのだ。やっぱり人と話すことは大切だ。 さて自分にとってガイシャとは何だろうか? 私自身は全日本GT選手権~スーパーGTに100戦以上レースしたのだが、ステアリングを握ったマシンはすべてガイシャ。国産車でレースしなかったのだ。 だからガイシャは私と密接な友達であり、いつもガイシャのことを考えていて、ガイシャが元気にしてくれた。 これからのガイシャに期待するのは、EVだけじゃなく、内燃機関でもまだまだ元気をくれるガイシャでいてほしい。 ◆アバルト500eツーリズモ・カブリオレ「身体の一部のよう」 まずはその可愛いエクステリア・デザイン。見ただけで元気になる。アバルト500eって、まずドライバーの想像力を掻き立てるクルマだ。アバルトといえばサソリのロゴだが、EV化によってデジタルなデザインに生まれ変わっている。革新の電気サソリなのだとか。 コックピットに座ると、まずピタリと体にフィットするシートがこれから始まるエキサイティングな世界を予感させてくれる。ドライビング・ポジションも満点だ。ただでさえコンパクトな車体は、運転席に座るとさらにコンパクトに見え、すべての性能を引き出せて自分の身体の一部のように感じられるようになる。 感動するのがEVならではの超低速からの加速感。力強い。実用高速域に達するのが速い。短いホイールベースながら、自立直進性はしっかりしている。そしてアクセレレーターを煽るたびにレコードモンツァと呼ばれる電子の排気音が! 車内ではなく外に向けてスピーカーから出ている。これまた不思議と元気になるのだ。 ◆ロータス・エミーラV6ファースト・エディション「まるでレースカーのよう」 ロータスといえば私の世代はサーキットの狼に登場するヨーロッパがまず頭に浮かぶ。あの時代、コンパクトで恐ろしく低いスタイルは憧れの的だった。その後ヨーロッパの精神を受け継いだエリーゼの登場で、ロータスといえばコンパクトで軽量な準スポーツカーというのが長らく世のイメージだった。 しかしエミーラは違う。エクステリア・デザインはエアロチックでセクシーさも併せ持つ。非常に美しいシルエットだ。そして乗り込めば最新のディスプレイに電動シートと至れり尽くせり。ラゲッジ・スペースも十分。ロータス=楽しいけれど、それなりに体力も使うアスリート系、という印象が強かったが、こんなロータスもあったのか!と驚かされる。 とはいえその気になればしっかりスポーツできるのは当たり前。トヨタ系3.5リッター V6エンジンはスーパーチャージャーで過給され405ps/430Nmを発揮。低速域から高速域まで淀むことなく加速させる。パドルを駆使すれば、まるでレースカーのようなエクゾースト・サウンドも楽しめるから、さらに元気が湧いてくるのだ。 ◆マセラティ・グレカーレ・トロフェオ「気品がある」 ボリューム感のあるこの優雅なデザイン。それでいて彫刻のような手作り感。決してプレスされたラインではないかのような、張り出したボディ。マセラティのモデルはどれをとっても気品がある。グレカーレはそのマセラティの未来を現わしている。 グレカーレには300psと330psを発生するマイルド・ハイブリッドの廉価版モデル(といっても1000万円弱)があるが、試乗したのは530psを発生する3リッターV6エンジンを搭載したトロフェオだ。インテリアは歴史あるマセラティらしく天然皮革、カーボン・ファイバー、さらには木材を使った落ち着きのある調和のとれたデザイン。ドライバーズ・シートに腰かけると、ゆったりと落ち着き、誰かと会話したくなる。しかしトロフェオのメカニズムはスゴイ。心臓部はMC20に搭載されたネットゥーノ・エンジンをベースにした530ps/620Nmバージョン。これに8段ATが組み合わされ2030kgの車体を軽々と異次元の世界に加速させる。パドルを操作してシフトのアップ・ダウンをするたびに、とびきりのエグゾースト・サウンドが元気にしてくれるのだ。 ◆メルセデスAMG S63 Eパフォーマンス「あっという間にワープ」 コックピットに腰かけた瞬間から元気がもらえるダッシュボードのデザイン。いわゆる最近のメルセデス調の2枚の大型タブレットのようなディスプレイ。それ以外のボードはちょっとケバイぐらいの色調。さらにステアリング・ホイール上に集約されたスイッチ類が心に刺さる。パワートレインは4リッターV8ツインターボに電気モーターを組み合わせたPHEV。F1テクノロジーを謳うその総合出力は802ps、最大トルク1430Nmと超ド級! 0-100km/h加速は3.3秒。4マティック+の4WDシステムに後輪ステア。さらにAMG専用開発のエア・サスペンションとダンパー。この世にあるすべてのアイテムがふんだんに盛り込まれている。アクセレレーターを踏み込めば、歩くような超低速を補うモーターパワーからいつの間にかV8内燃機関にバトンされ、あっという間にトップエンドの6000rpm超えにワープする。すさまじい加速と表現したいところだが、いたって普通に感じるのだ。スピード・メーターを確認するまではね。パワーを使い切っていても扱いやすい。そこが真のF1テクノロジーなのかも。 ◆プジョー408GTハイブリッド「不思議で気取っている」 ファストバック・スタイルの精悍なフォルムに、彫の深い厳つい前後のコンビネーション・ランプ。新しい408は少し攻撃的なデザインだ。なんとなく交感神経を刺激して元気にしてくれそう。コックピットもやっぱり彫の深い造形。メーターは3Dで浮き上がらせる、プロジェクション・マッピングのような見せ方が不思議感を誘う。そして小径のステアリング・ホイールの上からそのメーターを眺める独特なドライビング・ポジション。これがまたなんとも言えないフランス的なお洒落さ。そう、キャビン内は不思議で気取っている。そこがまた408が私を元気にしてくれるポイントだ。 プラグイン・ハイブリッドで約65kmもEV走行ができる。モーター駆動のみで走るときの超室内静粛性は、国産PHEVにはない「静」を感じさせる乗り味。19インチ・タイヤなのにロード・ノイズも耳障り感がなく、乗り心地はストロークを大切にしながら腰のしっかりしたフィール。1.6リッター直4ターボの最高出力/最大トルクは180ps/250Nm、モーターは110ps/320Nm。この総合加速も私を元気にしてくれる。 文=松田 秀士 (ENGINE2024年4月号)
ENGINE編集部
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