多くの人が「卵はひとつのカゴに盛るな」の意味を勘違いしていた…「この資産は必ず守るべき」と思うあなたが必ずすべきこと
2月22日の日経平均株価はバブル期以来、実に約34年ぶりに過去最高値を更新しました。NISA制度の拡充もあり、この機会に投資を始めようと考えている方もいらっしゃることでしょう。そのようななか、韓国人として初めて、アメリカの外食産業で大成功した起業家、キム・スンホさんは、貧しい境遇から成り上がった秘訣を発信しています。キムさんいわく、「よいポートフォリオは、投資者の『平常心』を維持してくれる」そうで――。 【書影】1000万回以上視聴された 「伝説のお金の授業」を書籍化!キム・スンホ『お金は君を見ている 最高峰のお金持ちが語る75の小さな秘密』 * * * * * * * ◆「卵はひとつのカゴに盛るな」を勘違いしてはならない 「卵はひとつのカゴに盛るな」。 これは有名な投資の格言だ。 じつはこの言葉はイタリアの古いことわざだ。 たぶん卵をひとつのカゴに山盛りにして、敷居でつまずきぜんぶ割ってしまったことのある農民が残した教訓なのだろう。 そして、アメリカのある翻訳家がセルバンテスの小説『ドン・キホーテ』を翻訳した際に、「知恵ある者は明日のために今日退くことを知っており、1日ですべてをやるような冒険はしない」という言葉を意訳したときに使われた。 その後、分散投資に関するポートフォリオ理論(Portfolio Theory)に寄与した功績で1981年にノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・トービン(James Tobin)が、彼の理論を一般人にも理解できるように説明してほしいという記者の求めにこう答えた。 「投資の際に、リスクと収益に従って分散投資すべきだという意味です。言い換えると、手持ちの卵をすべてひとつのカゴに盛ってはならないのです」 以降、「卵はひとつのカゴに盛るな」は、最も有名な投資の格言となった。
◆投資の最重要の原則 そして、この言葉が投資の格言となったことで、セルバンテスが言いたかった「1日ですべてをやるような冒険はするな」という人生哲学は、投資するにあたりリスクを減らせ、という意味に変わってしまった。 さまざまな銘柄に分散投資すれば、互いにリスクを相殺し、危険を低くできる。これをポートフォリオ効果と言う。ヘッジファンドの大家(たいか)レイ・ダリオ(Ray Dalio)も、「投資において真っ先にやるべきことは、予想外の未来に備えて戦略的資産配分をすることだ」と言っている。分散と資産配分を、投資の最重要の原則として指摘したのだ。 ところで問題は、それらのカゴ全てをひとつの棚に載せることだ。さまざまな株に分散投資することは、カゴが複数あるというだけで、それらのカゴをすべて同じ棚に載せているのと同じだ。棚が倒れることだってあるではないか。 あるいは不動産投資を株式投資のようにしている人がいるとしよう。もし彼がマンション、土地、オフィス、商業用賃貸物件など不動産だけに全財産を投資したとしたら、これは分散投資とは言えない。棚が倒れたら、マンションも土地もオフィスも商業用賃貸物件も倒れてしまうからだ。