箱根駅伝Stories/國學院大・平林清澄 歴史を変える挑戦フィナーレへ 「チームが勝てる区間に」
新春の風物詩・第101回箱根駅伝に挑む出場全21チームの選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。新たな100年への第一歩を踏み出す大会に向かうそれぞれの歩みを紹介する。 箱根駅伝2025 國學院大のエントリー選手名鑑をチェック!
ルーキー時代から三大駅伝皆勤賞
躍進を続ける國學院大の中心にいるのは、間違いなくこの男だ。 4年の平林清澄。エースにしてキャプテン、おまけに寮長と、いくつもの役割を背負う。重責に押し潰されてしまわないか、こちらが心配になるほどだが、チームの命運を握るキーマンだ。「箱根で勝ちたい」。その強い思いを高らかに声に出して、チームに浸透させてきた。 「ことあるごとにミーティングで言い続けてきました。ミーティングでは、テーブルごとに分かれていますが、約60人の部員全員で駅伝の話をしているんです。それを見て僕の心は燃えました。うれしいなって。それが目指してきたチームですから」。その思いは、いつしか平林だけのものではなくなっていた。 平林が高校2年生だった2019年10月、國學院大が出雲駅伝で初優勝を成し遂げる。これが國學院大にとっては、学生三大駅伝の初タイトルだった。さらに、箱根駅伝では、史上最高位の3位と躍進を果たした。 当時のエースだった土方英和(現・旭化成)や浦野雄平(現・富士通)の活躍、そして、出雲路や箱根路で前田康弘監督が流した熱い涙を見て、平林は國學院大への進学を決める。何より、前田監督の「箱根で優勝しよう」の一言が決め手だった。 國學院大に入学すると、平林の才能が一気に開花。入学して早々に、10000m28分台、5000m13分台をマークし、存在感を示すようになった。 鮮烈だったのが2021年6月の全日本大学駅伝関東地区選考会だった。ルーキーながら他大学の主力級が登場する3組に起用されると、度肝を抜くような積極的なレースを仕掛けた。結局3着だったものの、ポテンシャルの高さをのぞかせた。 そして、駅伝では1年時から出雲、全日本、箱根と三大駅伝すべてに出場。重要な局面を任され、区間上位で走り切り、その役割を果たしてきた。今度の箱根を走れば、4年間で学生三大駅伝皆勤賞となる。 今や、学生長距離界の枠を超えた活躍を見せ、日本男子マラソン界のホープ。自身も、2025年の東京世界選手権や28年のロサンゼルス五輪を視野に入れる。24年2月の大阪マラソンでは、初マラソン日本最高記録および日本学生記録を打ち立て、2時間6分18秒の好記録で優勝を飾った。 これほどの実績があっても、「何よりも箱根駅伝が大事」と平林は言い切る。