箱根駅伝Stories/國學院大・平林清澄 歴史を変える挑戦フィナーレへ 「チームが勝てる区間に」
優勝をたぐり寄せる走りを
「前年度は新チームが始まった1月にチームで風邪が流行って、なかなか上向きにならない時期がありました。絶対に一発で切り替えてやろうと思っていました」 “勝ち切る”というチーム目標を、キャプテン自らが大阪で実行。新体制がスタートしたばかりのチームを勢いづけた。そして、箱根駅伝優勝という最大の目標を達成するために、心血を注いできた。 根底には、これまでに味わった悔しさがある。「箱根では毎年勝てなかった。過去に負けた悔しさは一番大きい。まだまだやるべきことはいっぱいある。何を変えれば勝てるのか、ずっと考えてきました」。仲間と語った箱根優勝という目標を果たすために、自身もチームもレベルアップを図ってきた。 その働きもあり、出雲駅伝では5年ぶり2回目の優勝を果たし、続く全日本大学駅伝では出場12回目にして初優勝。すでに2冠を獲得し、史上6校目の3冠に王手をかけている。 「出雲と全日本で優勝しましたが、箱根駅伝を取りに行くという姿勢は変わりません。箱根駅伝には“チャレンジャー”という立ち位置で臨みたいと思います」。平林はそう強調する。 個人で数々の実績を残そうと、チームが全日本で初優勝しようと、最大の目標である箱根駅伝総合優勝を成し遂げてこそ、チームスローガンの『歴史を変える挑戦~EP.3~』はフィナーレを迎える、というわけだ。 箱根ではこれまで2年連続でエース区間の2区を担ってきた。2年時も区間7位とまずまずだったが、3年時の前回は区間3位とさらなる快走。1区の遅れを取り戻す、8人抜きの活躍だった。前年よりも1分以上速く、1時間6分26秒の國學院大最速だった。 チームは直前に体調不良者を出し、万全な状態で迎えられなかったが、それでも総合5位に踏みとどまれたのは、エースとしての役割を果たした平林の活躍が大きかっただろう。 最後の箱根も「もちろん走りたい区間は2区です」と言う。また、出雲6区や全日本7区で見応えある攻防を繰り広げた篠原倖太朗(駒大4)や太田蒼生(青学大4)とのマッチアップは、平林自身、箱根でも実現することを楽しみにしている。 だが、最優先すべきは、チームの総合優勝だ。2区の他にも、前田監督は5区での起用をほのめかしている。 「チームの状況や戦略を考慮して、前田さんが区間配置を考えてくれていると思います。チームが勝てる区間に起用してもらうのが一番良い。6区以外だったらどこでも走ります(笑)。どの区間でも区間賞を取る準備はしますし、その力はあると思います」 どの区間を任されても、全力を尽くすだけ。優勝をたぐり寄せる走りを平林は誓っている。 ひらばやし・きよと/2002年12月4日生まれ。福井県越前市出身。福井・武生五中→福井・美方高。5000m13分55秒30、10000m27分55秒15、ハーフ1時間1分23秒
和田悟志/月刊陸上競技