「田舎は給料が安い」と地元を出て大阪で働く息子。地方と大阪の年収の“格差”はどのくらいでしょうか?
就職のために地元を離れ、都会へ引っ越すケースは珍しくありません。都会へ移る理由には、給料や職種の選択肢の差などが挙げられるでしょう。しかし、なかには「都会と地方で、就業環境にそれほどの差があるのだろうか」と考える人もいるかもしれません。 今回は、大阪府以外の近畿地方の府県(滋賀県、京都府、兵庫県、奈良県、和歌山県)から、大阪府へ就職するケースを想定し、各府県との年収の差などについて解説します。 ▼会社員で「年収1000万円」以上の割合は? 大企業ほど高年収を目指せる?
大阪府の平均年収は約510万円
厚生労働省の「令和3年賃金構造基本統計調査」によると、近畿地方各府県の平均月収と平均年間賞与は、表1の通りです。 表1
出典:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査」を基に筆者作成 「平均月収×12ヶ月+平均年間賞与」を平均年収とすると、次になります。 ・滋賀県:480万3300円 ・京都府:492万2200円 ・大阪府:511万8600円 ・兵庫県:495万2100円 ・奈良県:447万1800円 ・和歌山県:448万1000円 このうち金額が最も低い府県は奈良県で、最も高い大阪府とは64万6800円の差があります。ただし、収入は勤め先の規模などによって変動するため、条件を限定すると異なる結果となる場合もあるでしょう。
有効求人倍率では、奈良県が大阪府を上回る
就職のしやすさを比較する際は、「有効求人倍率」が参考になります。 有効求人倍率は、有効求人数を有効求職者数で割った値です。例えば、有効求人倍率が1.5倍であれば、1人の求職者に対し、平均1.5社の求人が出ている状態を意味します。したがって、有効求人倍率が高いほど、就職がしやすいといえます。 厚生労働省の「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」を基に、近畿地方各府県における令和3年度の平均月間有効求人倍率を計算すると、次の通りです。 ・滋賀県:約0.87倍 ・京都府:約0.96倍 ・大阪府:約1.03倍 ・兵庫県:約0.84倍 ・奈良県:約1.14倍 ・和歌山県:約1.03倍 大阪府は滋賀県、京都府、兵庫県を上回る一方、和歌山県とはほぼ同じ値、奈良県は下回る結果になりました。就職のしやすさでは、奈良県が大阪府を上回るということです。 ただし、有効求人倍率が示す「就職のしやすさ」は、職種を限定しなかった場合のものです。裏を返せば、有効求人倍率が高い地域でも、職種によっては就職が難しい可能性があります。 具体的には「製造業の求人ばかりで、IT関係に就職できない」などのケースです。この場合、IT企業への就職を希望する人は、ほかの地域の方が就職がしやすいと感じるかもしれません。