公立の男子校・女子校は共学にすべきか? ジェンダー平等か伝統か、埼玉で巻き起こった議論の決着は―
一方、高校の3年間に「男女が互いに協力して学校生活を送ることには意義がある」と指摘。少子化が進む中、多様な個人の希望に応じた進学先の選択肢を用意することが求められることから、高校の在り方を総合的に検討する中で共学化を進めると結論付けた。 ▽20年前にも議論 実は、埼玉県では共学化の議論が約20年前にも起きていた。 県教委は2003年3月、共学化を進めていく立場としつつも「本県の数少ない別学校は多くの県民からの強い支持があること、学校の主体性を尊重する必要があることなどから、早期の共学化を実現するという結論に至らなかった」としていた。 県教委は今回、20年の時を経て改めて議論を重ねたが、共学化を決めるには至らなかった。 ▽男女別学の公立高校はわずか1% ただ日本各地では男女別学の公立高の共学化が進んでいる。 文部科学省の学校基本調査によると、1990年は261校(男子84校、女子177校)あったが、ジェンダー意識の変化や少子化の影響などで徐々に減少。2023年は45校(男子15校、女子30校)と6分の1になり、全公立高に占める割合は1・3%となった(生徒数減少に伴い在校生が男子だけ、女子だけの共学校も一部含まれる)。
地域で見ると、東北では宮城県では2001年度に22校あったが、2010年度までに全て共学化。福島は2003年度までに、秋田は2016年度までに共学化した。 関東には多く残り、埼玉12校、千葉2校がある。12校の群馬は、2025年度に男子校と女子校各1校を統合する。ただ8校がある栃木県では「共学化を求める組織的な動きはない」(栃木県教委)といい、地域によって温度差があるようだ。 西日本では例えば、和歌山県内唯一の公立女子高が今年3月に閉校した。鹿児島は4校のうち、男子高1校が2026年度から女子生徒を受け入れる。 ▽高校生の不安に、教育委員会の説明は… 埼玉県教委は報告書を公表した5日後の8月27日、県内の高校生たちと意見交換会を開いた。そこでは生徒側から、共学化推進方針への不安の声が上がった。 「反対の署名が集まっているのになぜ進めるのか」 「『推進する』ではなくて『議論する』ではダメなのか」
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