岩手県警が家宅捜索で押収した数珠やチラシなどの証拠品=2024年9月30日午後1時52分、盛岡西署、小幡淳一撮影

　悩みを抱える高齢者らから祈禱（きとう）の依頼を受け、法律に定められた契約に関する書面を交付しなかったとして、岩手、山形両県警の合同捜査本部は山形県酒田市にある宗教法人「大日院」の代表、大津幸雄容疑者（69）ら男3人を特定商取引法違反（書面不交付）の疑いで逮捕し、30日発表した。認否は明らかにしていない。 【写真】岩手県警が家宅捜索で押収した木札や相談会の案内などの証拠品=2024年9月30日午後1時52分、盛岡西署、小幡淳一撮影 　3人は2015年以降、東北各地で毎週のように相談会を開催し、330人以上から4億円以上集めていたとされ、岩手県警は「霊感商法」とみて、詐欺容疑での立件も視野に祈禱の実態など全容解明を進める。 　岩手県警生活環境課によると、3人の逮捕容疑は、22年6月ごろから今年4月にかけ、岩手県一関市と宮城県登米市で、相談会に集まった男性（84）ら計5人から祈禱を申し込まれ、契約を締結した際、特定商取引法で義務づけられている解除などに関して記載した書面を交付しなかったというもの。 　男性が今年1月、「多額のお金を渡したが領収書を渡されていない」などと岩手県警に相談していた。 　大日院は「何か重い荷物　背負っていませんか？」などと書いたチラシを新聞に折り込み、相談会の開催を告知。依頼者は家族のことや病気などで悩んでいる70代の女性が多く、祈禱に対する対価として数十万～550万円を現金一括で支払っていたという。 　同課は「宗教法人の名のもとに悩みにつけ込み、多額の収益を受け取っていた。関係があった場合は警察に相談して欲しい」と話している。（小幡淳一）