百貨店のケーキ宅配、温度管理は甘くない…専用ボックスのヒントは意外なところに
注文の6割、冷凍に
19年10月に大阪府内の一部でサービスを開始。出だしの販売ペースは緩やかだったが、年が明けると1日の注文が一気に10倍に膨らんだ。コロナ禍の巣ごもり需要も追い風となった。 次第に配送エリア外の顧客から「うちにも運んで」といった声が寄せられ、20年10月には冷凍ケーキの全国宅配を開始。「冷凍技術の進化やレシピの工夫で、冷凍ケーキと生ケーキの品質差はなくなりつつある」と橋本。今では注文の6割を冷凍が占める。 22年には冷凍ケーキの商品開発担当に中村ひかり(28)が、ECサイト担当に古賀夕梨乃(ゆりの)(28)が加わった。2人とも食品は未経験だったが、「お客様の来店を待つのではなく、自分たちからアプローチできる」(古賀)と手を挙げた。中村は「アレルギー原因食材の不使用など、幅広いニーズに対応した商品を開発していきたい」と意気込む。 「海外で日本のケーキの評価は高い」と橋本は言う。将来は、日本で製造した冷凍ケーキの海外輸出も見据えている。(敬称略)
<阪急阪神百貨店>大阪、兵庫中心に15店舗
エイチ・ツー・オー(H2O)リテイリング傘下の百貨店運営会社で、阪急百貨店と阪神百貨店の経営統合に伴い2008年に誕生した。大阪府、兵庫県を中心に阪急百貨店11店舗、阪神百貨店4店舗を展開する。24年3月期の売上高は5736億円で、5割超を稼ぐ旗艦店・阪急梅田本店の売上高は、伊勢丹新宿本店に次ぐ業界2位。従業員数は2830人(3月末現在)。本社は大阪市北区。