日銀が追加利上げ決定、株安・円高のダブルパンチ。米経済減速懸念も加わり、真夏の肝試し相場は継続。「勝者のポートフォリオ」で学び、今を生き抜こう!
●植田ショック! 日経平均は2200円急落! パニック売りで市場は大混乱! 8月2日の東京市場。前日の夜間取引で日経先物が1416円安(8月1日の日経平均終値比較)となる3万6710円まで売られていたが、寄り付きからさらに下げが加速し、日経平均株価は結局2216円安の3万5909円まで下落した。2216円安は下げ幅では史上2番目、ブラックマンデー翌日の1987年10月20日(3836円安、下落率14.9%)以来36年10カ月ぶりの大きさ。下落率5.8%は2020年3月13日のコロナ・ショック以来の大きさで史上29番目の下げである。東証グロース250指数は下落率が8%に達したため「サーキット・ブレーカー」が発動した。 それにしても景色は変わるものだ。7月11日に日経平均は初の4万2000円台乗せとなり、史上最高値を更新して4万2224円まで上昇していたが、そこから6315円安、下落率は15.0%に達した。まさに「真夏の肝試し相場」の様相である。 ●日本の株式市場がこれほどまでに急落した3つの要因とは? 株式市場がこれほどまで下落しているのには3つの要因がある。①半導体関連の急落、②日銀の追加利上げ決定、③円高だ。こうした下げのきつい状況になると「いよいよバブル崩壊」とはやし立てる人たちがいるが、いい加減な意見なので耳を貸さないこと。また「マーケットは転換点を迎えた」というマーケット関係者のコメントもアテにならない。今後の米連邦準備理事会(FRB)による利下げ開始に向けて株式市場は逆業績相場から金融相場に向かって進んでいることには変わりなく、「日々の動きはノイズに過ぎない」が私の見方である。順に下落要因を見てみよう。 まずは①半導体関連の急落について。これは前回のコラム『半導体株は予想通り急落、買うの? 買わないの? 』で詳しく解説した。 ●エヌビディア祭りに付随して買われていた半導体関連銘柄も大幅下落 これまで世界の株式市場を牽引してきた米ハイテク株。ところが7月中旬からその様相は一変。中でもその中心となる半導体関連の動きを示すSOX指数(フィラデルフィア半導体指数)は7月11日の最高値5904から8月1日には4859まで低下し17.7%の下落率。半導体株の代名詞であるエヌビディアは6月18日にマイクロソフトを抜いて時価総額世界トップ(3兆3350億ドル、約526兆円)に躍り出て135.58ドルまで買われていたが、8月1日は109.21ドルまで下落し19.4%安となっている。 「エヌビディア祭り」に付随して買われていた半導体関連銘柄もことごとく下落。日本市場の主要値がさ半導体株の7月11日と8月2日の株価を比較すると、東京エレクトロン(8035)が28.9%安、レーザーテック(6920)は33.9%安、ディスコ(6146)は34.9%安となっている。米国による対中半導体規制の大幅強化から日本が除外されそうだとのニュースでいったんは反発の兆しが出ていたものの再び沈み込んでいる。「日本の半導体関連はそもそもバリュエーションがアホみたいに高い」と私は述べたが、まさに砂上の楼閣ゲーム、ババ抜きゲームのような状況になっていた。●植田総裁が年内の追加利上げを否定しなかったことで暴力的な下落が加速 さらに、今本格的に追い打ちをかけているのが②日銀の追加利上げ決定である。植田総裁は3月のマイナス金利解除に続いて、7月31日の金融政策決定会合において政策金利をゼロ金利(0.0%~0.1%)から0.25%へ追加利上げを決定。また国債の買い入れ額を現在の月間6兆円から2026年1Qに3兆円まで半減させることを決めた。 この日の東京市場は結果発表後に乱高下の末、日経平均は575円高で終了。ところが、15時半から開かれた記者会見で年内の追加利上げの可能性を否定しなかったことで、③円高の要因が新たに発生した。一段と円買い・ドル売りが加速してドル円は一時148円台となり、円安を背景とした業績拡大期待が急速にしぼむ形となった。8月1日の日経平均は975円安、そして8月2日は2216円安と暴力的な下落が加速した。 ●逆業績相場は株価が乱高下する。今の下落は「Bad news is Bad news」 もちろん、日本市場だけが下落しているわけではなく米国市場も揺れ動いている。このところ特に意識されているのが「景気減速への懸念」である。米国の7月の製造業景況感指数が予想を下振れ、週間の新規失業保険申請件数は足元で予想を上回って2023年8月以来の高水準である。8月1日の主要3指数は揃って下落し、SOX指数は7.1%安と急落した。 私の35年間の経験では、逆業績相場はそもそもボラティリティが高く「どったん、ばったん」するのが普通だ。逆業績相場は「景気と株式市場の関係」において2つのロジック解釈があり、それが揺れ動く市場心理の中で右に傾いたり、左に傾いたりするからだ。「Bad news is Good news」「Bad news is Bad news」というのがそれだ。「景気悪化は利下げ期待に繋がり、株価は上昇」「景気悪化は業績悪化に繋がり、株価は下落」。この2つが株価の乱高下を生み出す。 「太田先生、私はどうしたらいいんでしょう? 」 そう聞かれても困る。あなたの問題は自分で決めるのが投資家としてのあるべき姿だ。 ●今のような相場で狼狽えているようでは「勝ち組投資家」から程遠い とは言え、私の35年の相場経験から申し上げると、冒頭で述べた「株式市場は逆業績相場から金融相場に向かって走っていることには変わりなく、日々の動きはノイズに過ぎない」というのが私の見方だ。そもそも金融相場は「景気悪化」「業績悪化」局面で行われるのが定番であり、それが「不況の株高」現象を生み出す。「金融緩和力>不況・業績悪化」である。コロナ相場での金融緩和&株高を思い出していただきたい。 とにかく、こういう相場で狼狽えているようでは「勝ち組投資家」からは程遠い。信用取引で泣く泣く売らされるなどというのは論外だが、現物株投資でも弱気になって投げ売りしているようでは資産形成などおぼつかない。 「真夏の肝試し相場」。なかなか面白くなってきたのではないか? 私個人的には「もっと下げろ」である。買いたい銘柄がたくさん出てきている。まさに真夏の大バーゲンセール開催中だ。「勝ち組投資家」は相場を楽しみ、「負け組投資家」は冷や汗、ストレス、涙である。 ●8月8日Webセミナーは必聴。乱高下相場を生き抜くヒントをつかめ! さて、太田忠投資評価研究所とダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチ(DFR)がコラボレーションして投資助言を行っている「勝者のポートフォリオ」。2大特典として毎月のWebセミナー開催とスペシャル講義を提供している。次回のWebセミナーは8月8日(木)20時より開催。テーマは『日銀が追加利上げ決定、「勝者のポートフォリオ」はますます優位に』。7月のWebセミナーでは「来たるべき金融相場でどう戦うか? 」について大事なお話をたくさんした。8月も必聴の内容である。できるだけ多くの皆さまにご参加いただきたい。10日間の無料お試し期間を使えば誰でも参加が可能だ。 スペシャル講義では『ポートフォリオ理論』に続き、太田流『ポートフォリオ実践』がスタートした。資産運用においてポートフォリオ運用のノウハウを知っておくことは必須であり、個人投資家にそれを身に付けてもらうことを目的としている。また、太田流『新NISA活用法』もすでに完結した。700名近くの会員たちはすでにバッチリ新NISAに取り組んでおり大きな成果を出している。資産運用を真剣にお考えの皆さま、「勝者のポートフォリオ」で一緒に大きく飛躍しましょう。ぜひ、ご参加をお待ちしております。 ●太田 忠 DFR投資助言者。ジャーディン・フレミング証券(現JPモルガン証券)などでおもに中小型株のアナリストとして活躍。国内外で6年間にわたり、ランキングトップを維持した。現在は、中小型株だけではなく、市場全体から割安株を見つけ出す、バリュー株ハンターとしてもDFRへのレポート提供によるメルマガ配信などで活躍。
太田 忠
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