袴田さん弁護団、「捏造」証拠など検証必須事項伝達 静岡県警に「改革案示して」
現在の静岡市清水区で1966年、みそ製造会社の専務一家4人が殺害された事件で死刑とされ、やり直しの裁判(再審)で無罪が確定した元プロボクサー袴田巌さん(88)の弁護団は9日、事件当時の捜査について事実確認を始めた静岡県警に対し、再審無罪判決が捜査機関の捏造(ねつぞう)と認定した「5点の衣類」をはじめ、特に検証が必要だと考える事項を伝えた。 県庁で記者会見した小川秀世事務局長は「警察の違法行為が判決で明確に認定されている。真剣に考え、改革案を示してほしい」と要望した。今後、最高検にも申し入れる予定という。 検証が欠かせないとしているのは、5点の衣類▽取り調べ▽遺体の検証・実況見分ーなど。衣類の捏造が間違いないかや、みそ会社に捏造への協力者がいたかどうかのほか、未開示証拠の管理状況を尋ねるとともに、公判で警察官が偽証したのは「明らか」だとして「偽証をさせないため、どのような方策をとることが考えられるか」と問うた。 一方、支援団体「袴田巌さんを救援する清水・静岡市民の会」は、県警の確認作業への協力を申し出た。「警察関係者だけでは事実関係すら十分に把握することに困難を伴う。支援者の協力が必要不可欠」と訴えている。 県警によると、無罪確定後の10月下旬、刑事部長以下約20人の態勢で事実確認を開始した。存命の元捜査従事者、みそ会社の元従業員らへの聞き取りなどを行っている。確認作業の終了後、結果を公表する。
静岡新聞社