「日曜日は何をされるんですか?」は雑談として三流…初対面でも心を掴む人が身につけている「質問力」
■あえて違う作品を読み込む、一点突破・全面展開 大ヒット作で映画化もされた漫画『テルマエ・ロマエ』は、あまりにも有名すぎる。もう飽きるほど聞かれていることは想像に難くない。開口一番、『テルマエ・ロマエ』を持ち出そうものなら、「またか……」と、うんざりされてしまうかもしれない。せっかくの貴重な機会に、それだけは避けたい。 ヤマザキさんは多才な方だ。そうであるがゆえに、あれもこれもといろんな場所を掘って準備をしようとすると、バラバラになってしまう。 もちろん、全体に満遍なく準備をするべきときもある。ケース・バイ・ケースだが、今回はバラけるよりも、失礼だけれど一点突破・全面展開。僕は、あえてヤマザキさんの別の作品、『プリニウス』(新潮社)に絞って準備することに決めた。 ■自分を強烈なマゾ嗜好なんだと思わなければ、準備は進まない そうと決めたら、もう、ひたすらこの作品を読んで勉強するのみ――と思ったのだが、これが大変。 同じく漫画家のとり・みきさんとの合作である『プリニウス』は、古代ローマ史をベースにした作品だ。かの『博物誌』を著した偉大な博物学者にしてローマ艦隊司令官でもあったプリニウスを主人公としており、骨太な自然科学・史学にファンタジーが合わさった大変興味深い歴史伝奇ロマンである。 とてもおもしろい漫画なのだ。いきなり今から2000年前にタイムスリップさせてくれる。もしこれが、初対面へ向けた準備でなければ……そうしたら、どんなに純粋に、観光気分で古代ローマを楽しめることか。 何度も「準備やめたら? 楽しんじゃえば?」と悪魔が囁く。当日は会ったときの雰囲気で話せばいいや。となるが、だとすると、「初めまして。『プリニウス』読みました、おもしろかった!! すごい」で終わっちゃう。これがダメなのだ。そうすると、相手に楽しみに来たファン心理だけが伝わって終わる。 だから、勉強モードで読む。本当は楽しみたいのに楽しまないで、何かのタネを探すんだと読む。自分を強烈なマゾ嗜好なんだと思わなければ、準備は進まないのだ。