比嘉37年ぶり具志堅雪辱勝利&15連続KO記録の裏に壮絶な減量秘話と沖縄魂
もう一人の偉大な沖縄の先輩の記録にも並んだ。デビュー以来、15連続KO勝利。元WBC世界スーパーライト級王者、浜田剛史氏の持つ連続KOの日本タイ記録となった。 解説席にいた浜田氏は感激していた。 「記録重視でやってきた選手もいたが、強い相手と戦ってきた本物が記録を作った。しかも沖縄から、そういう選手が出てきたのが嬉しい。30年前の記録。破る選手が出てこなければいけないものだった」 そして、こう成長部分を指摘した。 「簡単にいかない中盤以降のKOかなと思っていた。しかもフェンテスは比嘉を前へ出させまいと考えて前に出てきた。でも比嘉は無理にいくんじゃなくタイミングを合わせた。対応力の幅が広くなった。比嘉の良さ? 数を打てるってこと。倒れるまで打つボクシング」 次のV3戦が、16連続KOの新記録のかかる試合となるが、「16といわず、17、18と伸ばしてボクシング界を背負って立ってもらいたい。彼は、我々の時代の不言実行ではなく有言実行。今のファンも、昔のファンもこのスタイルは好きになる。最近はボクシングが綺麗になってきたが、打ち合って勝つという解説者のいらないボクシング。それが一般ファンをひきつける」と、浜田氏はエールを送った。 具志堅会長は「年に4度防衛。夏までには一回やらせる」と言う。問題は減量で、フライ級にとどまることは、もはや限界かと思われるが、「今日の動きを見れば、本人が食事の自己管理をすればやれる」と、フライ級続行を指令した。 「これが終わったら、もうフライではやりたくない、と思っていた。毎回、そう思って勝てば忘れて、また減量の繰り返し。いい方向に転がっていけばいいかな」 比嘉も転級を言い出せず願いをぐっと飲み込んだ。 「KOがなければただの世界王者。特別な王者になるためにもこれからもKOを続けたい」 故郷沖縄の幸せな夜。体育館の外は、まるで沖縄ではないような冷たい風が吹いていた。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)