プロ野球を声で支える鈴木あずささん 「いじりアナウンス」の原点は 西武はホーム最終戦
「自分で限界を決めないで」
――普段はどのように気分転換をしていますか。 気分を解放したいので、なるべく外に出て歩きます。高い建物を見に行くとか、広い空を漠然と見ることもあります。趣味は一人旅で、時間があって元気で予算もあれば国内を旅します。 ――年齢を重ねて、変化を感じることはありますか。 今49歳ですが、ここ2年ぐらいは自分の抵抗力、免疫力が変わってきたかな、と感じています。今までと同じことをしても体力が戻らないとか、「あれ、今日おかしいな」と感じることが増えました。 今年は途中から体調があまり良くなくて、初めてスタメン発表が終わってから医務室に行ったことも。アナウンスに支障はありませんでしたが、ひとつ良くなっても次に別のバランスを崩して、周りに助けてもらうこともあるので、放送室で一緒に仕事をしている人たちには体調のことを話すようにしています。ここ2カ月ぐらいは少し落ち着いているので、シーズンが終わるまでは無理をしないように頑張ります。一生に一度しか試合を見ない方がいるかもしれませんし、誠意を持ってアナウンスしたいので。 ――これからやってみたいことはありますか。 いろいろな球場を巡りたい。MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島やエスコンフィールドHOKKAIDOにはまだ行ったことがないので、お客様の気持ちを忘れないためにも、プロ野球の試合を見に行きたいです。交代のタイミングとか、絶対に気になるんですけどね(笑)。 ――同じAG世代に伝えたいこと、「いちばん話したいこと」は何でしょうか。 ここから先は今がいちばん若いから、自分で限界を決めないでほしい。できないと思っても、もしかしたらできるかもしれないし、毎日を面白がって一緒に生きていきましょう、と伝えたいです。周りのいろいろな人とつながっていけたら、人生が豊かになると思いますし、私も疲れているときや忙しいときに人と接するのが煩わしくなることがありますけど、煩わしいと思うのは、つながりがベースにあるからなんですよね。 球場では、笑顔で来てくれた方には笑顔で帰ってもらうように、疑問に思ってきた方には興味を持って帰ってもらうようにしたい。お客様にも、ビジター球団の方たちにも、そういう場所にできたらいいな、と思っています。 ――9月15日に開催された、ライオンズ・金子侑司選手の引退試合では、第2打席で登場する際のコールを鈴木あずささんが担当。「金子選手のたっての希望ということで」と、試合中継で紹介されました。プロ野球の試合を支え続ける「声」に、これからも耳を傾けたいと思います。 取材&文&写真=朝日新聞社 Aging Gracefullyプロジェクトリーダー/編集長 坂本真子 写真=西武ライオンズ提供 鈴木 あずさ(すずき あずさ)さん 1975年8月19日生まれ、北海道出身。2003年12月、株式会社西武ライオンズに入社。翌04年5月から1軍の試合でアナウンスを担当。現在は事業部リーダー兼事業推進グループのゲームオペレーション担当として、主にビジター球団のアナウンスを担っています。 40代と50代、Aging Gracefully(AG)世代の日本の女性たちの生き方は、どんどん多様化しています。最も多いライフコースは「専業主婦」だという調査結果がありますが、それでも4割に満たず、家族の形も働き方もさまざまです。 「AG世代がいちばん話したいこと」は、そんなAG世代の女性たちが、いま最も伝えたいこと、生の声をお届けします。
朝日新聞社