【#佐藤優のシン世界地図探索85】北朝鮮軍の「ウクライナ参戦」から変わる世界ゲームのルール
佐藤 もっとも死体の写真が公表されていないので、事実関係はよくわかりません。北朝鮮で何か起きたとき、つまり半島有事の際に、ロシアは少なくとも「ワグネル(傭兵部隊)を送ってやるよ」となります。 ――そいつは怖い。 佐藤 そして、韓国がこれで勘違いして、ウクライナに殺傷能力のある兵器を送ったら、ロシアから北朝鮮に極超音速ミサイルを提供することになります。 ――38度線に配備、と。 佐藤 もし極超音速ミサイルが配備されたら、航空母艦は大変でしょ? ――米空母は即撃沈であります。38度線からソウルまで距離40km、そこに1020万人暮らしています。さらに、南岸の釜山までは約400km。38度線の向う側に極超音速ミサイルがズラリと並んでいたら、速攻で戦争は終わります。 佐藤 そうなりますね。 ――金正恩総帥は、南侵するんですか? 佐藤 それはしません。 ――すると、汚物の入った風船が飛んで来る(参照:【#佐藤優のシン世界地図探索66】「風船戦争」の行方)いまが韓国にとっては幸せなんだ。 佐藤 それくらいが一番、平和で幸せなんじゃないですか。 ――これ、なんとかできるのはトランプだけですか? 佐藤 可能性はあると思います。しかし、やはり世界秩序が変わって来ていますね。 ――はい。 佐藤 「暴力」がゲームのルールの中に入って来ました。 ――その結果とは? 佐藤 エマニュエル・トッドが新しい本を出しましたね。『西洋の敗北』(文藝春秋)ではアメリカやヨーロッパが衰退し、より混沌とした未来を予測していますが、まさにその通りになっていくと思います。 次回へ続く。次回の配信は2024年11月29日(金)予定です 取材・文/小峯隆生