「岐阜タカシマヤ」47年の歴史に幕 岐阜県は百貨店ゼロに 惜しむ行列「会社休んで来た」
ついに岐阜県最後の百貨店が姿を消してしまいました。7月31日で47年の歴史に幕を下ろした「岐阜タカシマヤ」。別れを惜しむ行列の先にあったのは、変わらぬ優しい味でした。
閉店目前に久しぶりの賑わい戻る ラーメン店は100人以上の行列
7月29日、岐阜タカシマヤを訪れると、入口にお客さんからのメッセージカードが展示されていました。ボードいっぱいに飾られた「47年間ありがとう」「閉店は残念です…」という声。7月31日の閉店を前に、1000枚以上が寄せられたということです。
岐阜県唯一の百貨店として岐阜タカシマヤが開業したのは1977年。33年前に取材した映像には、店内でイベントが開かれ賑わう様子が残されていました。 長年にわたり地元の人に親しまれてきましたが、近年は厳しい状況が続いていて、昨年度の来客者数はピーク時から半減し、約200万人に。また、2022年度は3100万円の赤字になりました。さらに施設の老朽化も重なり、7月いっぱいでの閉店となったのです。 岐阜髙島屋 大田知広次長: 「10月の閉店発表以降、多くのお客様にご来店いただいています。ご愛顧に感謝するつもりで精いっぱい営業をしてまいります」
閉店が目前に迫り、久しぶりに戻った賑わい。11階のレストラン街では、岐阜タカシマヤ開業当時から営業している老舗のラーメン店「あかさたな寿限無亭」に100人以上の行列ができていました。
名古屋などにも店舗を構えていましたが、ここが最後の店舗。ラーメン店を訪れた人たちは「会社を休んできました。すごく懐かしい味。なくなるのは寂しいですよね」「このお店が終わっちゃうって知って、最後に行けて良かったです。とてもおいしかったです」と、最後の味を堪能していました。
岐阜県は百貨店ゼロに 都心以外は苦戦が続く
岐阜タカシマヤが閉店すると、岐阜県内の百貨店はゼロに。今回の閉店が地域経済に与える影響についてOKB総研の中村上席研究員は、このように指摘します。 OKB総研 中村紘子上席研究員: 「これまでタカシマヤを目的に来ていたお客様がいなくなるということで、周辺の商店街にとってもマイナスの影響が出る可能性はあります」 近年、都心から離れた地方の百貨店の閉店が相次いでいて、愛知県でもここ4年で4店が閉店。売り上げも、東京・大阪・名古屋の三大都市圏ではコロナ禍後にV字回復していますが、それ以外の都市ではコロナ禍前の水準に戻れず、厳しい状況となっています。 7月31日、47年の歴史に幕を下ろした岐阜タカシマヤ。営業最終日には感謝の気持ちを込めて、470本のバラが来場者に配られたということです。