東京大学の学費値上げは本当に必要なのか? オンラインによる「総長対話」で浮き彫りになった驚くほど閉鎖的な体質
全13名の質疑で学生からの提案・要望に実行が約束されたものは1つだけ
筆者は本郷キャンパスのパブリックビューイング会場で現地参加したが、結局、全13名の質疑で藤井総長が学生からのさまざまな提案・要望に対して明確に実行を約束したものは、「増収29億円の使途を毎年公表する」という1点のみだった。 それ以外の学生からの質疑はすべて曖昧な回答に終始するか「検討」という発言が続き、学生生活の実態(学費減免手続きの煩雑さ、寮の不備、大学院進学のスケジュール感等)を理解していないことも露呈した。 (*本記事で省略した全13名の質疑は、筆者のtheLetter「【文字起こし】学費値上げ 東京大学総長対話2024年6月21日」(2024年6月25日)参照) また、オンラインによる形式的な総長対話に対して多くの学生は不満を募らせ、終了直後の21時から本郷キャンパス安田講堂前で緊急抗議集会が開催された。 この集会をめぐっては大学側が警察に通報し、学生側が暴走したかのような報道が相次いだ。しかし、映像を見ればわかる通り、学生は対面での対話を求めて平和的に抗議していた。 集会に参加した学生からは「学校側から納得のいく説明がなくがっかりした」との声が多数聞かれたが、はたして東大はこのまま学費値上げを強行するのだろうか。 文/犬飼淳
犬飼淳
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