デビュー40周年・斉藤由貴 スナックのママ役を演じる彼女が影響を受けた、樹木希林さんの一言【あのクズを殴ってやりたいんだ】
10代で俳優デビュー、アイドル歌手としての経験ももつ斉藤由貴さん。現在放送中のドラマ『あのクズを殴ってやりたいんだ』で演じる主人公の母が特異な存在感を放っている。 スナックを経営して生計を立てている佐藤明美は、付き合う男はみんなクズという人生を歩み、孫ができる年頃になっても彼氏が途切れることがない。ややもするとだらしがないと思われがちなキャラクターだが、斉藤さんが演じるととてもかわいらしく憎めない人物となるから不思議だ。それは、斉藤さん自身に歳を重ねても色褪せない魅力があるからにほかならない。 時代を経て変わってきた考え方や、自身の価値観形成に影響を与えた人との出会いなど、長いキャリアを踏まえたうえでの“演者”としての心得を話してくれた。 【画像で見る】デビュー40周年・斉藤由貴 スナックのママ役を演じる彼女が影響を受けた、樹木希林さんの一言 ■“ベタであること”を受け入れるようになった ──スナックのママを演じての印象はいかがですか。 「明美」って、スナックのママとしてはこれ以上ないぐらいベタな名前ですよね(笑)。私、思うんですけど、ドラマにとって“ベタさ”ってとても重要なんじゃないかなって。キャリアを重ねていくにつれ、そのベタさを嫌ってはいけないんだなと感じるようになったんです。だから、役の名前が「明美」であること、そして、自分の娘に「ほこ美」「さや美」という名前をつけちゃうセンスがあるお母さんだということは役作りの一助になりました。 ──“ベタであること”に抵抗を感じていたことがあるんですね。 私、18歳でデビューしましたけど、演劇や芸能に関わることはそのころから大好きだったんですよ。もともと、三島由紀夫の小説やルキノ・ヴィスコンティの映画を好むような中学時代を送っていたので、物語の世界に興味があったんです。でも、文学少女だったからか、分かりやすいものに対しては抵抗を感じる時期がありました。いまでも、わかりやすさを求めるがゆえにイージーになってしまうことへの危機感みたいなものは感じていて。ですから今回も、自分が物語のなかで担う分量を考えながら、「こういうスタンスを求められているんだろうな」ということを判断しながら演じることを大事にしたいと思っていました。