「自分との結婚なんて考えてもらえない」 ”最大の悩みは結婚” 障がい者の”きょうだい”に生まれて
兄の存在を理由に、縁談を断られ続けた女性がいる。4歳上の兄には知的障害があった。 障がい者のきょうだいにとって最も大きい悩みのひとつは、”結婚”だという。 【写真で見る】一度は別れた彼と結婚した香織さんのこれまで 女性は、一度は別れた大学時代の恋人と、紆余曲折を経て、夫婦になった。 ■幸せな結婚を期待された、妹のわたし 北海道名寄市に住む八尾香織さん(42)。 4歳年上に重度の知的障がいを抱える兄・和敏さん(46)がいる。香織さんは、両親から「良い学校に進んで、良い会社に就職して、幸せな結婚をしてくれ」と期待され、ことのほか厳しく育てられた、と感じている。 あまり褒められた記憶がない。 八尾香織さん 「兄には知的障がいがあり、親としては、いわゆる世間的な幸せを求めるという意味では健常者の私しかいなかったので、期待がかかってきたのかなと思います。でも、学年トップの成績を修めても褒められたことがなかったので、『いつになったら親に褒められるのかな』と。その思いを糧にして頑張ったからか、、常にプレッシャーがかかっている状態で、今思うと肩の力が抜けない子供時代でしたね。」 香織さんは親の期待に応え、東京の有名私立大学に進学する。 八尾香織さん 「障がい者のきょうだいがいる家で育ったので、表面上は凄くしっかりしていました。人に弱音をはくのが苦手でしたし、常にカッコつけてたんですよね。『アタシ大丈夫でしょ、出来るでしょ!しっかりしてるでしょ!しっかりしてるわよ』って感じで、可愛げはゼロでしたね。」 ■私との将来なんて考えていないだろう…恋人との別れを決意 大学時代には、恋人が出来た。 しかし、卒業を機に’彼’との別れを決めた。 八尾香織さん 「就職する時は『家族のそばに戻った方がいいよね』と思い、北海道の会社に就職を決めました。と同時に交際していたとはいえ、彼は自分との将来なんて考えていないだろう、と思い『私、北海道へ帰るから』と別れを告げました。その時は彼も『あっそう』という感じで、お互いにアッサリしていました」 20代の頃は全く結婚願望がなかったという香織さん。 厳しかった親との関係性もあり「家庭」というものに良いイメージが持てなかったという。 香織さんの父はいわゆる「亭主関白」で、母親は従順…典型的な昭和の家族だった。 そんな家族観も影響したのかもしれない。 生涯独身、という思いを胸に仕事にまい進した。 そんな香織さんが入社4年目を迎えた時、別れた大学時代の彼が、香織さんの当時の勤務先があった北海道北見市まで訪ねてきた。 「僕が札幌に移住してもいいから一緒になってほしい」とプロポーズを受ける。 しかし同じ北海道でも、北見市と札幌市とでは距離がある。 車で移動すれば4時間40分、JRを使っても4時間30分。 飛行機を利用しても、空港までの所要時間をプラスすると4時間30分。 「ここからじゃ札幌も東京も変わらないほど遠いわよ。それを分かってから言って頂戴!」と断ってしまう。
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