実は多い?男性の更年期障害。気分の落ち込みやイライラ、加齢のせいと思った症状は更年期が原因かも 仕事との両立、動き出した環境整備
女性が閉経に伴い急激にホルモンが減るのに対し、男性ホルモンは緩やかに減る。このため「疲れているだけ」、「加齢によるものだから」などと捉えて、更年期だと気づきにくい場合があるのも特徴だ。 ▽潜在的な患者はもっと多い 厚生労働省が2022年に実施した調査で、「男性にも更年期にまつわる不調があること」を「よく知っている」と答えたのは、40代以降の男性で約1~2割にとどまった。 さらに「医療機関への受診により、更年期障害と診断された、または診断されている」と答えた男性の割合は40~50代で1%台だった。 この結果について佐々木院長は「男性更年期障害が知られていないため、正確な数字の把握につながっていない。知らないから数字が低いだけで、潜在的にはもっといるはずだ」との見方を示す。 受診に訪れる患者には「部下にいらいらしてしまうので調べたい」、「(自身の振る舞いで)家族が困っている」といった動機もあるという。佐々木院長は「周りの人はプライドを傷つけるような言い方や接し方はせず、優しく支えることが大切だ」と強調する。
「更年期」という言葉に抵抗感がある人も多く、受診のハードルは高い。その場合は、男性ホルモンの状態をセルフチェックできる検査キットも販売されている。TRULY(トゥルーリー、東京)は、毛髪を切って郵送すればLINE(ライン)で検査結果や専門家のアドバイスを受けられるサービスを展開している。 ▽休暇整備、性差の理解促進が重要に 加齢による体調の変化と向き合いながら、仕事との両立ができるよう制度を整備する企業もある。 三菱UFJモルガン・スタンレー証券は2024年4月、女性向けの生理休暇を刷新し、男女問わず更年期も対象とした「ヘルスケア休暇」にした。1カ月につき2日まで有給扱いになる。 女性社員から「更年期障害で年次有給休暇をたくさん使ってしまう」と悩む声が届いたことが見直しのきっかけだった。男性社員から要望がでていたわけではないが、男性にも更年期があることから「性別で区別しない」(担当者)と決めた。