メロディーレーン引退発表を受けて森田直行調教師が思い出のレース明かす「初めて涙が出た」
300キロ台半ばという小柄な体ながら長距離戦を中心に活躍し、18日に現役引退が発表されたメロディーレーン(牝8・森田)。北海道の岡田スタツドで繁殖入りすることが決まって一夜明け、森田調教師が現在の心境を語った。 「もともと脚元に弱さがあり、今回は痛めていた支持靱帯が治り切りませんでした。福島のノルマンディーファームでケアをしながら調整していたけど、なかなか良くならなくて、トレセンでケアすることになったのですが、年齢も年齢だし、次の馬生もあるから」 まずは引退に至った経緯を説明した森田師。もともと、小さすぎて競走馬になれないのでは…といわれていたが、長距離路線に活路を見いだし、6年間の競走生活で4勝を挙げてオープン馬にまで上り詰めた。 「一番思い出深いレースは、3歳の未勝利戦(2019年6月・阪神芝外2400メートル)を勝ったとき。トレセンで仕事をして、初めて涙が出たレースだった」 道悪の阪神で大外から直線ゴボウ抜き。340キロという小柄な牝馬が9馬身差Vを決め、競馬ファンに衝撃を与える前代未聞の勝利となった。さらに、同年9月に2勝目を挙げたときは、今もJRAのミニマム記録として残る338キロ。その後、果敢に挑戦した菊花賞ではメンバー最速の末脚で5着という大健闘を見せた。ファン増え方はとどまるところを知らず、SNSでも大人気。競馬場に人を呼べるアイドルホースとして有名になっていった。 「本当にたくさんのファンの方に応援していただきました。パドックでも毎回、温かい声援をいただいていましたし、厩舎にお手紙も数えきれないくらい届いた。引退を発表したあと、一晩でインスタには700を超えるコメントがきて…。ありがたいですね」 小さくてかわいいだけじゃない。自分の力で着実に勝利を積み重ね、オープン馬の称号を得た彼女の懸命な走りには、多くのファンが励まされてきた。もう競馬場でその姿を見られなくなることは寂しいことだが、生まれ故郷に無事に戻すということが、陣営の最も大切な仕事でもあった。「担当者が一番寂しいと思います。よく頑張ってくれた」と担当の助手をねぎらった森田師。 「レーンちゃん(メロディーレーンの愛称)と長い間一緒にいられて楽しかった。彼女に似た、かわいい子を生んでほしいですね」 と愛情深い言葉で締めくくった。
赤城 真理子