埼玉の県道沿いに“突如出現するピンク色のカオス空間”所有者を直撃。いつか「町おこしの観光施設に」
「さまざまなコレクション」の整理が追いついていない
県道からは木の陰に隠れて見えにくいが、敷地の奥へ足を踏み入れるとさらにビックリ。壁中にホーロー看板がびっしり貼り付けられた旅館のような大型の建物が建っている。向かいの2階建ての一軒家もレトロな看板だらけ。この建物の中にマイセンの人形とか室町時代の軍配とか昭和の泥メンコ、古いパン焼き機など、ガラクタから年代物、高価なものまでさまざまなコレクションがごちゃごちゃとあるのだが、いまのところ非公開となっている。なんせ今でも敷地内の整備を社長自らピンクの重機を操縦して行っている最中なのでなかなか整理が追いついていないらしい(敷地内は撮影でうろつくのは黙認)。 県道の東側敷地の最奥ではなんとヤギが数十匹も飼われている。業務内容には樹木の伐採を依頼されることも多く、葉っぱの処分はこのヤギの担当だとか。実際、ピンクのダンプで運び込まれたらしき枝葉が、ピンクのショベルカーでヤギ舎に投げ入れているのを取材で目の当たりにしたのだがなんとも豪快! 県道の西側は石の彫刻作品がもう少し整理されて展示されているのだが、こちらもトリケラトプスもあれば、例のピンクの鳥居に巨大カエルもあって謎な感じだ。
「町おこしの観光施設」にする目論見が
そもそもなんでこんな展示施設を作っているのか。越生町は越生梅林や五大尊つつじ公園、一足早く5月に行われる花火大会の時は観光客で賑わうが、それ以外はかなり静か。もうちょっと観光名所があれば人もくるのではないか。そう、社長は町おこしの観光施設にしようと目論んでいる。 実はこの土地、「旧武蔵国越生郵便局」の跡地であり、また2011年に廃業した越生酒造の酒蔵があった場所。だからこその丸型ポストであり、越生酒造の代表銘柄だった「来陽」の看板も展示し、ちゃんとその土地の記憶を刻んだ内容となっている。一見でたらめでカオスに見えても、越生町の過去と将来のことをちゃんと考えているのだ。あとはオープンを待つだけ。もういっそ整備中から一般公開を始めたらどうですか、神辺社長! <取材・文・撮影/関口勇> 【関口勇】 『ワンダーJAPON』編集長(フリーランス・発行元はスタンダーズ)。廃墟、B級スポット、巨大構造物、赤線跡などフツーじゃない場所ばかり紹介。武蔵野美術大学非常勤講師。X(旧Twitter):@isamu_WJ
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