【ナゼ】斎藤知事“圧勝劇”の裏側で…ライバル陣営のX凍結、誹謗中傷 「精神的に疲弊」刑事告訴も 前例ない“SNS”拡散選挙が浮き彫りにした現実
兵庫県知事選挙で再選を果たした斎藤元彦知事。111万票を獲得した圧勝の勝因として、「SNS」で有権者を味方につけたことが指摘されている。その一方で、ライバル候補の陣営やパワハラなどの疑惑を追及する百条委員会の委員のもとには、SNS上での誹謗中傷や「恐怖を感じる」ような演説があり、県議の1人が辞職する事態が起きていた。前例のない“SNS拡散”選挙の裏側で何が起きていたのか―。
■「アカウントが凍結された異常事態、検証が必要」警察に告訴状提出
「アカウントが凍結された異常事態についてはきちんと検証することが必要だと」 22日夕方、記者会見した稲村和美氏の後援会の世話人を務める津久井進弁護士が訴えた。 稲村氏の陣営によると、後援会公式のX(旧ツイッター)のアカウントが、知事選告示から1週間後の11月6日、突然凍結された。後援会は急きょ別のアカウントを開設したが、12日にも再びアカウントが凍結された。 XのHPによれば、嫌がらせや迷惑行為が確認された場合、アカウントは「凍結される場合がある」とされ、一般のユーザーから通報できる仕組みになっている。 後援会側の説明によると、Xのルールに反するような投稿や行為をしたことはなく、「ウソのルール違反を通報しようとする呼びかけや、実際に通報を行った旨の報告が確認されていることから、組織的な一斉通報が行われ、アカウントが凍結されたと推測される」という。 稲村氏の陣営は、ウソの通報によりアカウントを凍結され選挙活動を妨害されたとして、被疑者不詳として偽計業務妨害の疑いで警察に告訴状を提出した。公職選挙法違反の疑いでも告発状を提出し、今後、警察が受理するかどうかを判断することになる。
■「外国人参政権」「1000億円県庁舎建て替え」デマ情報で誹謗中傷も…
無所属で出馬した前尼崎市長の稲村氏は、自民党の一部県議や立憲系の会派などの支援を受け、選挙戦序盤は優勢とみられていた。 ところが、選挙戦が進むにつれ、ネット上では「斎藤さんは悪くない」「斎藤さん、誤解してごめんなさい」などと投稿が相次ぐようになった。斎藤氏への支援の輪が『雪だるま式』に拡大する一方、稲村氏については、「外国人参政権を進めようとしている」「1000億円かけて県庁舎を建て替えようとしている」などといったデマ情報が流れていたという。 陣営はウソの情報だと否定したが、Xを凍結された間は否定する投稿もできず、ウソの情報はネット上で拡散していった。誹謗中傷が相次ぎ、「陣営も稲村氏本人も精神的に疲弊していった」(後援会関係者)という。 投票が終わった17日午後8時すぎ、斎藤氏の「当選確実」が報じられ、報道陣や支援者の前に姿を見せた稲村氏は、「斎藤候補と争っているというより、何と向かい合ってるのかという『違和感』があったのは事実」と漏らした。