【ナゼ】斎藤知事“圧勝劇”の裏側で…ライバル陣営のX凍結、誹謗中傷 「精神的に疲弊」刑事告訴も 前例ない“SNS”拡散選挙が浮き彫りにした現実
■「脅して自死されら困る」街頭演説 誹謗中傷で「家族が狂乱常態」議員辞職も…
誹謗中傷の矛先は、ライバル陣営だけでなく、斎藤知事をめぐる疑惑を調査していた県議会の百条委員会のメンバーにも向けられた。 百条委員会・奥谷謙一委員長「(NHK党の)立花氏が『奥谷を探せ』みたいなことをSNSで入れて(投稿して)、行動監視をされているような思いもあって、かなりすごい恐怖を抱いた」 投開票の翌日に会見した百条委員会の委員長の奥谷謙一県議は、「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏が自宅兼事務所の前で拡声器を使って街頭演説をしたことを明かした。立花氏は、「出てこい奥谷」「あまり脅しても自死されたら困るので、このくらいにしておく」などと演説したという。奥谷氏は同居する家族を避難させたことを明かした。 奥谷氏は「家族が怖い思いをしたのは大変遺憾。今後厳正に対応していく」と述べたが、これに対し、立花氏は翌日、自身のyoutubeで、「事務所の前で選挙演説をした。事務所を自宅を一緒にしているからそうなった。脅迫もしていない」として、奥谷氏を名誉棄損で訴えると表明した。 このほかにも、投開票の翌日、百条委員会の委員で竹内英明県議が、「一身上の都合」を理由に突然、議員辞職した。 百条委委員の上野英一県議は、SNS上で竹内氏への誹謗中傷が広がり、竹内氏から「言葉の暴力が拡散して、家族が狂乱状態までになった。家族から『政治の道から退いてほしい』と話があった」と相談があったことを明かした上で、「優秀な議員を追い込むほどのネットの怖さ、これを武器として選挙をする怖さがある。この問題をしっかりしないと、この国の政治が歪んでしまう」と訴えた。
■斎藤知事「心無い中傷は控えることが大事」被害抑止の条例制定も
SNSを味方につけて再選を果たした斎藤知事も、「今回の選挙戦ではSNSでいろいろな情報が出て、心無い誹謗中傷については県民を傷づけることになるので、控えていくことが大事」との見解を示している。 斎藤知事は、1期目から、SNSの誹謗中傷を抑止する条例案の検討を始め、7月に立ち上げた有識者会議で条例案の検討を進めている。この検討状況を踏まえながら、今後、条例の成立を進める考えだ。 県議会では、選挙戦で誹謗中傷を受けた議員がいることも踏まえ、国に対しSNS対策を急ぐよう要望を出そうとするとする動きもある。 東京都知事選や米大統領選と同様、SNSを中心としたネット上での盛り上がりが選挙戦を大きく左右する形となった今回の選挙戦。立候補者や議員らに関する『デマ情報』や『誹謗中傷』が増幅した現実が浮き彫りとなり、今後の選挙の在り方に大きな課題が突きつけられている。