F1分析|やはり今回も、レッドブルのレースペースは強力。しかしフェラーリのペースも優秀……一矢報いるか?:F1サウジアラビアGP FP2
2024年のF1は早くも第2戦。サウジアラビアGPの初日を終え、まもなく2日目の走行が行なわれる。 【リザルト】F1サウジアラビアGPフリー走行2回目タイム結果 その初日フリー走行2回目での各車のロングランペースを見ると、開幕戦バーレーンGPと同様にレッドブル勢が強そうであるのは確実だが、場合によってはそのレッドブルに迫る可能性を窺わせるチームがある。 前回のバーレーンGPのFP2では、全車がソフトタイヤを履いてのロングランを行なうという、異例の事態となった。しかし今回のサウジアラビアでは各チームがソフト、ミディアム、ハードそれぞれのタイヤでロングランを実施したため、タイヤのパフォーマンス傾向の差は見えたとは言え、各チームの勢力分布が見えにくいという状況でもある。
■レッドブルがやはり速い?
そんな中でも速さを見せたのが、レッドブル勢だ。マックス・フェルスタッペンがソフト、セルジオ・ペレスがミディアムでロングランを行なった。 フェルスタッペンは全車中最も優れたペースで走り、デグラデーション(タイヤの性能劣化)もマイナス……つまり走れば走るほどペースが上がる傾向にあった。一方でペレスは、15周にも及ぶロングランを行ない、こちらもデグラデーションはマイナス。これを考えれば、ソフト→ミディアムの1ストップ戦略で50周の決勝レースを走り切ってしまっても決して不思議ではない。 ただこれに勝るとも劣らない可能性を秘めているように見えるのがフェラーリだ。フェラーリはシャルル・ルクレールがソフト、カルロス・サインツJr.がミディアムでロングランを行なった。
■フェラーリのロングランペース
ルクレールのソフトでのロングランは、走り出しのペースこそレッドブルには少し遅れを取ったが、その後のペースの上がり方はフェルスタッペン以上……つまりデグラデーションがマイナスなのだ。サインツJr.は、体調不良(後に虫垂炎だったことが発覚し、2日目以降は欠場が決まった)の影響もあったのか、ロングランの周回数は短かったが、デグラデーションはやはりマイナスである。 フェラーリは昨年、タイヤのデグラデーションに苦しめられ続けてきた。しかし今年は、そのタイヤに厳しいという特性は、もはや完全に過去のモノとなっている可能性があり、今回レッドブルを打破するチャンスが巡ってきた感がある。もちろん、レッドブルがまだまだ真の実力を発揮していないだけ……かもしれないが。 そんな中で欠場しなければならなくなったサインツJr.は、不運と言う他ない。一方で代役を務めるオリバー・ベアマンにとっては大チャンスだろう。 この他メルセデス勢もミディアムタイヤでのロングランのデグラデーションがマイナスだったが、同チームのロングランはミディアムのみ。しかもロングランの周回数が短かったことから、その実力は未知数だが、上位2チームの争いに加わってくる可能性もある。 それ以外には、デグラデーションがマイナスのチームはなく、アタックラップのペースは僅差だったものの、上位3チームとそれ以外には差があるようにも感じられる。しかもそれらが大混戦となっているようだ。 気になるのはRBだ。実はRBだけが、FP2でソフトタイヤのみを履いたチーム。つまりミディアムとハードでのロングランを行なっていないのだ。C2(ハード)とC3(ミディアム)のデータは、これまでのグランプリですでに取得済みであり、必要ないと判断したのであればいいが、少し心配な部分ではある。しかも角田裕毅のロングランではデグラデーションが小さいように見えるが、チームメイトのダニエル・リカルドのロングランには、デグラデーションの兆候が見て取れる。
■トップ3チーム以外はデグラデーションが大きいか?
以上のことを考慮すると、レッドブル、フェラーリ、メルセデスは、ソフトとミディアムを使っての1ストップ戦略を選択できる可能性がある。一方でそれ以外のチームは、ハードを組み合わせた戦略を取らざるを得ないだろう。 実際FP2でのハードタイヤでのロングランを見ると、デグラデーションはいずれのマシン(とは言っても4台だけだが)も小さかった。ただ、ハードと組み合わせるのにミディアムを選択するのか、あるいはソフトにするのかという部分は、判断が分かれそうだ。
田中健一