マクラーレン、“ミニDRS”禁止でも痛くも痒くもない? ライバルF1チームが望む戦闘力低下になり得ない理由とは
利益の最大化
仮にライバルチームがベルギーGPでマクラーレンのリヤウイングに注目し、サマーブレイク中にFIAに詳しく調査するよう働きかけていたら、イタリアGPとアゼルバイジャンGPのマクラーレンのパフォーマンスに影響を及ぼしていただろう。その結果、2戦の結果が変わっていたかもしれない。 フェラーリのフレデリック・バスール代表は、既にマクラーレンがミニDRSから恩恵を受けていたことに苛立ちを感じていると語った。 「モンツァの状況を思い返すと、少しフラストレーションを感じるよ。100分の2秒(実際は0.075秒)差で5台が並んでいたんだから」とバスール代表は言う。 「100分の2秒の差で1、2番手から5、6番手になってしまうんだ。バクーでは、ターン1で10周連続でサイドバイサイドになった。フラストレーションが溜まっているのは想像できると思う」 マクラーレンからすれば、天才的なトリックが露呈してしまったことに少なからずフラストレーションを覚えているだろう。しかし同様に、好機を逃さず他を出し抜き、例年特に苦戦してきた低ダウンフォース/ドラッグレベルのサーキットで好成績を収めたことに胸を撫で下ろしていることだろう。 マクラーレンのザク・ブラウンCEOは、Sky Sports F1の取材に応じて、次のように語った。 「F1のエンジニアたちは非常に賢く、過去10年間、非常に素晴らしいレーシングカーを開発してきた。そして(FIAの適合)テストにも合格した。ハイパフォーマンスなモノを編み出した我々のチームは素晴らしい」 「チャンピオンシップにとっては素晴らしいことだ。我々は(コンストラクターズランキングで)首位を走っているし、我々のレースカーには明らかに上手く機能しているモノがある。みんながみんな、スピードを高めようとしているし、同時に我々を遅くしようとしている。それがF1だ」
FIAの分析
今後注目されるのは、マクラーレンが自分たちのリヤウイングだけが特別視されることを不公平に感じているかどうかだ。 アゼルバイジャンGP以来リヤウイングの挙動に注目が集まっているマクラーレンは、情報筋によると、ライバルチームのデザインにも目を光らせており、レギュレーションの限界を超えていると考えられるモノがあるという。 情報筋によると、少なくとも他2チームがスロットギャップやリヤウイング全体の回転を含む巧妙な空力トリックを実行している可能性があるようだ。 マクラーレンは声明の中で、FIAが他チームにも目を向けることを望んでいると言及したのは注目に値する。 「FIAがリヤウイングのコンプライアンスに関して、他チームと同じような話をすることも期待している」とマクラーレンは示唆している。
Jonathan Noble