鹿児島県 徳之島世界遺産センターが開所 生物多様性の価値発信 持続可能な観光振興・活性化拠点に 徳之島町花徳
【徳之島】「奄美大島、徳之島、沖縄北部及び西表島」世界自然遺産に登録された徳之島における価値を伝え、その豊かな自然環境や魅力を発信する環境省の「徳之島世界遺産センター」(徳之島町花徳)の開所記念式典が21日午後、同施設であった。同省大臣政務官や県知事、地元3町長など関係者約70人が出席。世界に誇る生物多様性の発信、奄美群島全体の持続可能な観光振興と活性化に期待を寄せた。併設の「道の駅とくのしま」と同時に22日から一般開放となる。 コンセプトは「徳之島リビングミュージアム」。同島の世界遺産としての価値である生物多様性や雄大な自然の魅力を伝えつつ、訪れる人々にとって「居場所となるくつろぎの空間」を目指した。規模は木造平屋建て延べ床面積449・78平方㍍、総事業費は8億2850万円。
シンボルマークのモチーフは同島固有種の「オビトカゲモドキ」や「タニムラアオイ」。展示内容・空間は、同島の自然環境を六つにゾーニングし約150種をジオラマ展示した「いのちのにぎわい箱庭」をはじめ、地形環境の360度映像展示、体験型展示。ほか、家族連れで過ごせるキッズスペースや授乳室、トイレ、ソファー、テラス、ワークショップスペース、読書空間なども整備した。 開所記念式典の主催者あいさつで五十嵐清・環境大臣政務官は、国内5番目の世界自然遺産登録実現までの経緯も交え「世界自然遺産の価値を伝えることはもちろん、自然と人との関わりを理解していただける場を提供し、ゆったりと滞在しながら島内の自然文化をより深く体験できる施設。2年前にオープンした奄美大島世界遺産センターと連携し、世界に誇る豊かな生物多様性を発信。奄美群島全体の持続可能な観光振興と活性化の拠点に」と期待を込めた。 来賓の塩田康一知事も「県としても奄美群島観光マスタープランに基づいた自然環境の利用上のルールの運用、奄美の資源文化の魅力に触れる世界自然遺産奄美トレイルの活用も推進。沖縄県と連携したプロモーションなども含め、今後も徳之島3町と緊密に連携。世界自然遺産の価値が維持され、次の世代に継承されるよう、自然環境の保全と利用の両立にしっかりと取り組みたい」と示した。 続いて同遺産センター管理運営協議会会長の高岡秀規徳之島町長、副会長の森田弘光天城町長と大久保明伊仙町長があいさつ。「環境保全の重要性と地域文化、歴史の継承、再構築の両立を目指す拠点。次世代への橋渡しとなることを大いに期待。本センターが国内外に徳之島の特性や魅力を伝える場、地域住民の心の拠り所となるよう取り組みたい」(高岡会長)など決意も示した。 同省奄美群島国立公園管理事務所の広野行男所長の施設概要説明に続き、関係機関代表がテープカットして開所をアピールした。 一般利用は22日から開始(午前9時~午後5時、最終入館は同4時半まで)する。問い合わせは同センター(電話0997・84・0726)。