【毎日書評】自然と相手の心のガードを外す「ずるい聞き方」3つのテクニック
「たまたま~」で偶然を装う
どうにかしてしかづきたい人がいるのだけれど、アポイントをとるほどの用事もなく、直接連絡できる関係でもない──。そんなことはよくあるものです。とくに著者の場合は記者という仕事柄、「なにかヘンなことを書かれるのでは?」と警戒心を持たれやすいようです。 そこでよく使っているのが、「たまたま~」と前置きして、偶然だと錯覚させながら近づくワザなのだそう。「偶然」のフリをすれば警戒されることもなく、「わざわざきたんだ」と相手に負担を感じさせることもないため、リラックスして話してくれるというのです。 以前、ある学生芸人のLIVEに、偶然を装って押しかけたことがありました。その学生芸人の父親もまた超有名芸人です(当時はそれを公にしていませんでした)。 LIVEで駆け出し芸人さんの今後の伸びしろを肌で感じたかったのと、直前に父親にスキャンダルがあったので、あわよくばその後の進展や更なる周辺情報を聞けないかという目論見もあり、接近のチャンスだったのです。 そこで会場でバッタリご本人に会ったとき、「記者の山田です。たまたま自宅の近くでLIVEやっていたので観に来ちゃいました」と言ったら、「嬉しいです」とすごく喜んでくれました。 その場に居合わせたスタッフも、「この近くに住んでいるなら」という感じで立ち話に応じてくれたので、もし取材に来たと言ったら構えられて気軽に話してくれなかっただろうなと思いました。(91ページより) こうした経験があるからこそ、さりげなく距離を縮めたい人には「たまたま~」作戦を使うことが有効だと著者は主張しているのです。たしかに、ビジネスでも応用できそうではあります。(96ページより)
半歩近づいて心の距離を縮める
人にはそれぞれ、「パーソナルスペース」と呼ばれる、自分が安心でいられるプライベートな空間があるというのは有名な話。そのため他人との関係においても、無意識のうちにパーソナルスペースを保とうとする心理が働くわけです。 当然のことながら、親密な相手ほどこの空間は狭まり、敵視している相手は広くなっていくもの。ちなみにパーソナルスペースがもっとも狭い恋人や親子との親密距離は45センチ以内、親しい友人や知人との個体距離は45~120センチといわれているのだそうです。著者の場合、仕事で会う人だと45センチでは近すぎるため、アパレルショップ時代はギリギリ60センチくらいを目安にして接客していたといいます。 もちろん、お客さまが店内に入ってきたときは近くないので、接客しながら1メートルくらいまで近づいて、もう一押しというところであと半歩接近するのです。(中略) そこで相手が半歩下がったら、もう距離は詰められません。でも、そのまま30~40センチ近づけたら、心が早く通じることを接客や取材の現場で何度も実感しました。(109ページより) だからこそ、立ち話で大事な話をしているとき、もう一押しイケそうだと感じたら「あと半歩」を意識するべきだというのです。(108ページより)