貯金ゼロで首位奪回した阪神・和田監督が掲げる「辛抱野球」
阪神が一日で首位を奪回した。4日のビジターでの横浜DeNA戦は、ローテーションの谷間だったが、2年目でプロ初先発となる山本翔也(26)を抜擢、上本のバースデーアーチから始まり、その左腕が、5回を2失点に切り抜けると、福留の価値ある2発、そして、4人の継投でなんとか逃げ切った。最終回には、オ・スンファンが、また代打・後藤に一発を浴びて、前日の悪夢が蘇ったが、チームは連敗を4で止め勝率を5割に戻して首位に立った。それでも貯金ゼロの首位。5位に転落した横浜DeNAとは、わずか1.5差。このセ界の異常現象を現場の指揮官はどう捉えているのか。 首位奪回直後の和田監督に聞く。 ーー広島―ヤクルト戦の中止で首位返り咲きとなったけれど? 「そうなの? そんなに雨降ったんだ?」 ――順位は気にならない? 「どこも気にしている球団はないんじゃないか」 ちなみに、横浜DeNAの中畑監督も試合後、5位転落について聞かれ「貯金なしか?すごいよね。日替わりメニューではなく、日替わり順位だな。そんなこと考えれられない。後ろ向きになっているわけにはいかない」と、和田監督の言葉通りの感想を口にしていた。 ーー史上稀に見る大混戦。貯金ゼロの首位って、見ている方は面白いが、現場を預かる指揮官の心理としては、どうなの? 「とにかく、まず勝率5割ってことだよね。順位や相手球団の動向ではなく、一日、一日、目の前の試合を全力で戦いながら、勝ちを積み重ねていくしかない。全チームが貯金のないという状況になると、何も計算は立たないからね」 ――ここを抜け出す条件は? 「どのチームも決め手に欠けるだろう。うちも含めてね(笑)」 ーーおっしゃるとおり、どこも戦力整備に必死だ。 「今は、この混セから抜け出すなんてことは考えていない。考えられないと言ったほうがいいかもしれない。今は、如何に辛抱するか。うちの場合、これは、4月からずっと言っていることなんだけど、我慢するしかないんだ。粘り強く戦うことしかない。先発にしても、中継ぎにしても、打線にしても、辛抱しながらの勝負になる。上本、大和の1、2番にしても、本来は、粘り強さというものを持っている。そこは、ちょっとは、出せるようになったかな。打線にしても、多少は反発力が出てきた。多少は、点を取れるようになってきている。とにかく、辛抱。だから、昨日、ああいう形(抑えのオスンファンが2点を守れずにサヨナラ負け)で負けたゲームの翌日は非常に大事なゲームだった。その意味でこの勝利は大きい」 ーーなるほど。 「とにかくしんどいけれど、まだまだ辛抱し続けていくしかないな」